9月7日14時10分、マリーンズから「トレード成立の件」というプレスリリースが届く。それは香月一也と澤村拓一とのトレードが成立し、香月が巨人へ移籍するということだった。
マリーンズでレギュラーを目指し、ロッテ浦和球場で汗を流した日々を忘れない。特に印象に残っているのが18年。この年は開幕前に左手を骨折。復帰後、二軍戦では8月に月間5本塁打を放つなど、故障で出遅れたが持ち前の長打力で一軍昇格に向けてアピールを続けていた。
チームは夏場以降下位に沈み、若手選手が次々に一軍が昇格していく中、香月は一軍に呼ばれずにいた。それでも、腐らずにいつもと変わらず黙々とバットを振る姿があった。
「二軍生活が長い中で、腐ったら終わりだなと自分の心の中で言っている。腐らずやっていくしかない」。
「(若手選手の活躍は)ニュースでは見ましたけど、あまり見ていない。見たら悔しいので、結果だけは気にしながら見ています。悔しい思いがあるので、見ないようにしています」。
結局、18年は一軍出場なしに終わったが、11月に行われた台湾遠征では、「やってきたことをやるしかないので、振ることしか考えていなかった。フルスイングをテーマにやってきたので、台湾で全部フルスイングしようと思っていた」と初戦に猛打賞を記録するなど、3試合で5安打2打点とアピール。
同年オフは5勤1休のペースで練習を積み、1月14日からはシーズン中から打撃技術のスゴさについて語っていた福浦和也らと自主トレを行った。
この年も開幕は二軍スタートだったが、5月24日に2年ぶりに一軍昇格。「久しぶりなので、普通に嬉しいです」と笑顔で話してくれたことを今も鮮明に覚えている。7月には「ひとつの目標だったので打てたことは嬉しい」とプロ初本塁打を放った。シーズン終了後に「正直満足いっていないですね」と振り返ったように、プロ初本塁打を放つも一軍定着とはならなかった。
今年は対外試合初戦となった2月8日の楽天モンキーズとの国際交流試合で「結果を残すだけしかない。結果にこだわるというか、全力でやるしかない。頑張ります」と試合前に話し、有言実行の1本塁打、4打点の大暴れ。
いよいよレギュラー争いに加わるかと思われたが、その後はバットでアピールすることができなかった。シーズンが開幕してからは同じ左打ちで三塁手の安田尚憲が一軍で活躍するなか、香月も昇格を目指しファームで結果を残してきたが、一軍から声がかからなかった。
そして、9月7日、巨人・澤村拓一とのトレードが発表された。
「福浦さんもそうですし、なんていうんですかね。長く野球をしたい。ずっとレギュラーを張って、“ロッテの福浦”というように自分の名を知らせるようにしたいです」。
2年前のロッテ浦和球場で、こう熱く語ってくれた。数年前から、試合前の打撃練習では福浦和也二軍ヘッド兼打撃コーチからもらったバットを使ってティー打撃を行うなど、尊敬する偉大な先輩だ。
ロッテでレギュラーを奪うことはできなかったが、移籍先の巨人で活躍ができれば、お世話になった福浦コーチのように長く現役をプレーする可能性は秘めている。
マリーンズで達成できなかったレギュラーという目標を巨人でぜひとも達成して欲しい。数年後、いや今年の日本シリーズで、一軍の舞台で対戦できることを願っている。香月が移籍するのは寂しいが、巨人に必要とされてのトレード。東京ドームで香月一也のフルスイングを魅せ、ジャイアンツファンをたくさん喜ばせてくれ。マリーンズファンもきっとそれを望んでいる。新天地で大輪の花を咲かせて欲しい。
▼ 香月一也
「入団をして6年、マリーンズで活躍できなかったことに関してはすごく悔いがありますが、応援してくださった皆様、お世話になった皆様にはジャイアンツで頑張る事でいい報告が出来ればいいなあと思っています。応援してくださいました皆様、本当にありがとうございました。チームは変わりますがこのチャンスを生かすべく貪欲に、精一杯、頑張ります」
文=岩下雄太
マリーンズでレギュラーを目指し、ロッテ浦和球場で汗を流した日々を忘れない。特に印象に残っているのが18年。この年は開幕前に左手を骨折。復帰後、二軍戦では8月に月間5本塁打を放つなど、故障で出遅れたが持ち前の長打力で一軍昇格に向けてアピールを続けていた。
チームは夏場以降下位に沈み、若手選手が次々に一軍が昇格していく中、香月は一軍に呼ばれずにいた。それでも、腐らずにいつもと変わらず黙々とバットを振る姿があった。
「二軍生活が長い中で、腐ったら終わりだなと自分の心の中で言っている。腐らずやっていくしかない」。
「(若手選手の活躍は)ニュースでは見ましたけど、あまり見ていない。見たら悔しいので、結果だけは気にしながら見ています。悔しい思いがあるので、見ないようにしています」。
結局、18年は一軍出場なしに終わったが、11月に行われた台湾遠征では、「やってきたことをやるしかないので、振ることしか考えていなかった。フルスイングをテーマにやってきたので、台湾で全部フルスイングしようと思っていた」と初戦に猛打賞を記録するなど、3試合で5安打2打点とアピール。
同年オフは5勤1休のペースで練習を積み、1月14日からはシーズン中から打撃技術のスゴさについて語っていた福浦和也らと自主トレを行った。
この年も開幕は二軍スタートだったが、5月24日に2年ぶりに一軍昇格。「久しぶりなので、普通に嬉しいです」と笑顔で話してくれたことを今も鮮明に覚えている。7月には「ひとつの目標だったので打てたことは嬉しい」とプロ初本塁打を放った。シーズン終了後に「正直満足いっていないですね」と振り返ったように、プロ初本塁打を放つも一軍定着とはならなかった。
今年は対外試合初戦となった2月8日の楽天モンキーズとの国際交流試合で「結果を残すだけしかない。結果にこだわるというか、全力でやるしかない。頑張ります」と試合前に話し、有言実行の1本塁打、4打点の大暴れ。
いよいよレギュラー争いに加わるかと思われたが、その後はバットでアピールすることができなかった。シーズンが開幕してからは同じ左打ちで三塁手の安田尚憲が一軍で活躍するなか、香月も昇格を目指しファームで結果を残してきたが、一軍から声がかからなかった。
そして、9月7日、巨人・澤村拓一とのトレードが発表された。
「福浦さんもそうですし、なんていうんですかね。長く野球をしたい。ずっとレギュラーを張って、“ロッテの福浦”というように自分の名を知らせるようにしたいです」。
2年前のロッテ浦和球場で、こう熱く語ってくれた。数年前から、試合前の打撃練習では福浦和也二軍ヘッド兼打撃コーチからもらったバットを使ってティー打撃を行うなど、尊敬する偉大な先輩だ。
ロッテでレギュラーを奪うことはできなかったが、移籍先の巨人で活躍ができれば、お世話になった福浦コーチのように長く現役をプレーする可能性は秘めている。
マリーンズで達成できなかったレギュラーという目標を巨人でぜひとも達成して欲しい。数年後、いや今年の日本シリーズで、一軍の舞台で対戦できることを願っている。香月が移籍するのは寂しいが、巨人に必要とされてのトレード。東京ドームで香月一也のフルスイングを魅せ、ジャイアンツファンをたくさん喜ばせてくれ。マリーンズファンもきっとそれを望んでいる。新天地で大輪の花を咲かせて欲しい。
▼ 香月一也
「入団をして6年、マリーンズで活躍できなかったことに関してはすごく悔いがありますが、応援してくださった皆様、お世話になった皆様にはジャイアンツで頑張る事でいい報告が出来ればいいなあと思っています。応援してくださいました皆様、本当にありがとうございました。チームは変わりますがこのチャンスを生かすべく貪欲に、精一杯、頑張ります」
文=岩下雄太