「出場機会がなくなったこと。それが一番の決め手」
今季限りで現役引退することを表明している楽天の渡辺直人選手(39)が13日、引退会見を行った。
「このような場を設けていただいた球団関係者の皆様、本当にありがとうございます。この度、わたくし渡辺直人は、現役生活を引退することを決断いたしまたことをご報告いたします。ここまで野球を続けていく上で、支えてくださった全ての方に感謝の気持ちを申し上げます。14年間本当にありがとうございました」
2006年の大学・社会人ドラフト6位で楽天に入団し、トレード、戦力外を経て、2018年から古巣に帰還。コーチ兼任で迎えた今季途中に引退を決断した理由について、「出場機会がなくなったこと。それが一番の決め手」と語り、「若手の成長を手伝えていることに、若手の必死な顔を見ていることに幸せな気持ちになってきて、これはやっぱり選手としては違うのかな」と、決断の経緯を明かした。
「最後に楽天のユニフォームを着て引退するというのは自分の夢だった。今の自分があるのは、入団して若いときにいろんな経験をさせていただいたから。その恩は忘れないですし、いつか恩返ししたいという思いはずっと持っていた。楽天で引退できてよかった」と言葉を続けた。
また、「楽天にいたときもそうですし、他球団に移ってからも仙台でプレーするときは多くの声援を頂いて。その声援に助けられて…。その声援に応えたいと…」と言葉に詰まり涙。「楽天のユニフォームを着ていても、他球団のユニフォームを着ていても、その思いは変わらなかったですし、ファンの声援に本当に勇気を与えてもらいました」と、ファンとともに歩んだ14年のキャリアを振り返った。
渡辺直人・一問一答
――現在の心境
まだシーズンの最中ですので、自分のことでこういう引退発表の場を作っていただけて本当に感謝していますけど、自分の中でひとつ区切りをつけたいということで今の時期に発表させていただきました。
――引退を決めた理由と時期
具体的な日にちは覚えてないんですけど、シーズン半分過ぎて、半分くらいですかね。自分の出場機会がなくなったと。それが一番の決め手ですし、コーチ兼任ということで、やはり自分がうまくなりたい、試合に出て活躍したいと強く思っていたんですが、若い選手の成功がものすごく嬉しく感じるようになって、若手の成長を手伝えていることに、若手の必死な顔を見ていることに幸せな気持ちになってきて、これはやっぱり“選手”としては違うのかなということで決断しました。
――やりきったと言うまでユニフォームを脱がないと言っていた。
引退を決めた今でも野球を上手くなりたいと毎日練習してますし、なにより野球が大好きなのでね。なかなかこう…。うーん、やりきったというところまでは正直いってないですし、今でも上手くなりたいです。
――引退の件を誰かに相談?
引退することに関しては誰にも相談せずに、自分で決めました。
――家族には?
今週の火曜日かな?火曜日にGMの方にご報告させていただいたんですけど、その前日にしました。(家族からは)お疲れ様と。
――同学年(松坂世代)が少しずつ引退。野手として最後の引退。
同学年には素晴らしい選手がいっぱいいて、そういう選手をすごく尊敬していて、ユニフォームを脱ぐ時期は様々ですが、そういう世代の選手たちと、同じ時期を戦ってきたというのは誇りに思います。
――引退発表のタイミングについて
いまコロナの状況でなかなか球場に足を運べないファンの方々、知人、友人にやっぱり自分がプレーしてる姿を目に焼き付けてほしいなという思いで、この時期の発表になりました。
――最後にユニフォームを脱ぐのが楽天だった。
楽天に入団して、いろんな事があって、最後にまた楽天のユニフォームを着て引退するというのは自分の夢だったので、幸せだなと思います。
――なぜ「夢」と思えたのか?
今の自分があるのは、入団して若いときにいろんな経験をさせていただいたから今があるので。その恩は忘れないですし、いつか恩返ししたいという思いはずっと持っていた。楽天で引退できてよかった。
――楽天でプレーできたこと。
楽天にいたときもそうですし、他球団に移ってからも仙台でプレーするときは多くの声援を頂いて。
その声援に…助けられて………、その声援に応えたいと……。
楽天のユニフォームを着ていても、他球団のユニフォームを着ていても、その思いは変わらなかったですし、ファンの声援に本当に勇気を与えてもらいました。
――楽天を退団したときも涙。いまの涙に込められている思いは?
感謝です。
――引退することはチームメートも知っていた?
数名。
自分が決断したときに、相談ではないですけど、決断したことを話した選手はいます。
――きょうの練習は参加した?
はい。昨日みんなの前で報告させていただきました。
――心に残るシーンは?
そうですね、いっぱいありますけど…。
やっぱり2009年、クライマックスシリーズに出れたこと。
それは本当にいい思い出ですね。
――チーム全員で勝ち取ったCS出場。
本当にやればできる、
そういうのを勉強できた年だったんじゃないかと思いますし、なにより“勝つ喜び”、負ける悔しさはいっぱい経験しましたけど、勝つ喜びというのを初めて知ることができた瞬間だとおもうので、いい思い出だともいます。
――ここまでの原動力
素晴らしいチームメートの存在と、温かいファンの存在ですね。
――今後の目標、やりのこしたこと。
やっぱり優勝したい。
個人的にはやり残したことはなくて、個人的にこれをやっておけばよかったとか、もっとこの成績上げられたなとか、そういう後悔はまったくなくて、常にやるべきことは全力でやってきた結果なので。
やり残したことはない。やっぱり僕は優勝したことがないので、チームのみんなと喜び合いたいなと思います。
――優勝へ向けて。
最後まで勝つための一つのピースになれるように、自分ができることをやっていきたいです。
――ファンへメッセージを。
本当に良いときも悪いときも、試合に出てたときはもちろんですけど、出場機会が減ってきている中でも、多く方に応援していただいて、本当に幸せものだと思います。
なかなか大きな成果で応えることはできなかったかもしれないですけど、ひとつだけ自分が言えることは、“全力を尽くした”と。全力を尽くした結果なので、勘弁してください。はい。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
なんとか期待に応えられるように、優勝できるように、自分も頑張っていきたいと思います。
渡辺直人・プロフィール
守備位置:内野手投 打:右投右打
身長体重:173センチ・73キロ
生年月日:1980年10月15日(39歳)
経 歴:牛久高-城西大-三菱ふそう川崎-楽天(06年大社D5位~10年)-横浜・DeNA(10年~13年途)-西武(13年途~17年)-楽天(18年~20年)
[通算成績]
1134試 安853 本7 点229 盗115 犠184
打率.259 出塁率.342 長打率.313