1番・荻野が初回に出塁すると…
マリーンズのトップバッター・荻野貴司が、攻撃に勢いをもたらしている。
荻野は初回の第1打席、日本ハムの先発・上沢直之に対し、2ボール2ストライクから5球連続ファウルで粘ったあと、しっかりボール球を2球連続で選び、四球で出塁。続く2番・角中勝也のレフト線の打球でスタートを切っていた一塁走者の荻野は、一気にホームインした。その後、4番・安田尚憲の適時三塁打、5番・井上晴哉の適時打で、初回に3点を奪った。
荻野が、初回の第1打席に出塁すると得点の確率がグッと高まる。今季ここまで荻野が1番で出場した第1打席の成績は、打率.345(29打数10安打)、2四球。第1打席に13度出塁しているが、12度ホームに生還しており、塁に出れば90%以上の確率でホームに返ってきている。
過去の取材で荻野は、「初回なので、塁に出ることでチームはノッテいける。全部の打席、一緒なんですけど、初回に点を取るとピッチャーも楽になると思う。そこはしっかり心がけてやっていきたいと思います」と話しているが、まさにチームに勢いをもたらす働きを見せている。
▼ 井口監督就任後第1打席(1番打者)で出塁したときのホーム生還数
(初回の出塁回数/ホーム生還数)
18年:25/17
19年:44/27
20年:13/12
初回の得点数にも違い!?
荻野が1番にいるのといないとでは、チームに与える勢い、敵チームの投手に与えるプレッシャーも違うのか、初回のチーム得点数もかなり変わってくる。
今季荻野が1番で出場(31試合)した初回のチーム得点数は33だが、荻野が1番で出場していない試合の(56試合)初回のチーム得点数は21。荻野が1番で出場していない試合数が25試合多いが、初回の得点数は荻野が1番で出場した時の方が多い。
ちなみに、荻野が『右大腿二頭筋の軽い筋損傷』で7月23日に一軍登録抹消されるまで、1番で出場した試合の初回のチーム得点数は26。この期間中のイニング別得点では、最も多い得点数だった。数字だけを見ても、“1番・荻野”の存在の高さがわかる。
現在マリーンズは、首位・ソフトバンクに「1.0」ゲーム差の2位。マリーンズが先取点を奪った勝利数はリーグトップの35勝で、チームが勝利する確率が高まる。トップバッターの荻野が塁に出て、後ろを打つ打者で還すという形が増えれば増えるほど、チームの得点が増えていくことだろう。
文=岩下雄太