5年ぶり2度目の栄冠
9月度の「大樹月間MVP賞」が7日に発表され、セ・リーグの打者部門はDeNAの梶谷隆幸選手が受賞。個人としては、2015年3・4月度以来となる5年ぶり2度目の受賞で、ベイスターズとしては先月の佐野恵太選手に続いて2カ月連続の受賞だ。
梶谷は、9月の27試合すべてに「1番・センター」としてスタメン出場。打率.378、5本塁打、14打点、OPS1.031と活躍し、盗塁も7つ決めるなど、持ち前の“脚”でも魅せた。
貫き通した美学
具体的には「逆方向へのバッティングが1番かなと思う。昔から率を残すためには重要だと思っていたけど、それを身体がちゃんとできるようやっていた」とコメント。誰かアドバイスを受けたわけではなく、「自分で考えてやりました」と、自らの考えを貫き通した。
また、9月に42安打を積み重ね、1990年8月のジェームス・パチョレック氏、1996年5月の佐伯貴弘氏が記録した月間41安打を更新したことに関して「記録は知らなかったのですが、24年ぶりに更新したのが自分になるとは、驚きのほうが大きいです」と笑った。
2度目の栄冠の裏に!?
2015年3・4月の初受賞は、打率.333、1本塁打、14打点、10盗塁という内容だったが、5年前は「知らず知らずのうちに取っちゃった感じ。今回は、自分の中で考えて積み重なって取れた」と重みの違いも感じている。
さらに、「日々、妻が色々サポートしてくれています。(昨年)結婚してから環境が変わって、助けになってくれている」と、14年目の復活劇の裏にある“裏方”の存在にも感謝した。
初球打ちも多く、先頭打者弾は4本と、積極的な打撃が目立つが、「自分的には見て行くと良い結果が出ないし、追い込まれると、どのバッターも打率が下がる。対ピッチャーの事を研究して、タイミングが合えば行こうと決めている」と、しっかりと対策と準備を企てた結果であることを強調する
現在3位につける打率についても、「.320~.330くらいは打ちたい欲ももちろんある。ただ、シーズン前の目標でもある3割は絶対に打ちたい」と、未だに打ったことのない「3割」という数字にこだわりを見せた。
☆ラストスパートへ
右肩手術の影響もあり、2018、19年ともに41試合の出場と、忸怩たる思いを抱え、復活を期した今シーズン。ラミレス監督も「リーグでもベストのリードオフマン」と絶賛する。見事な復活劇を見せたプロ14年目の蒼い韋駄天は、「試合に出たら、自分のやるべきことをしたい。しっかりした準備をしていい結果を出したい」と、気を引き締めた。
梶谷隆幸、32歳、彼が描く成長曲線は、ここからがさらに急激な弧を描いていくはずだ。
取材・文=萩原孝弘(はぎわら・たかひろ)