奪三振がアップ
ロッテの高卒2年目・地元千葉県出身の古谷拓郎が、オリックス戦でいよいよプロ初先発・初登板を飾る。
プロ1年目の昨季は、「こんなに投げられるとは思わなかったですし、イニングを含めてたくさん試合経験を積ませていただきました。充実した1年になったと思います」とファームで13試合に出場して、6勝4敗、防御率5.04という成績を残した。
2年目の今季は、ファームで開幕投手を務めるなど、ここまで2勝2敗、防御率は2.90。9月27日のヤクルト戦では、2番手で登板し、4回を投げ1安打無失点に抑える投球を披露した。
ここまでの投球に「アウトにするときのアウトの取り方が変わってきたというのがあった」と話し、「1年目はアウトでもライナーであったり、強い打球が多かったのを感じていた。今年は三振の数が明らかに増えた。打ち取ったアウトが増えてきた実感があります」と昨季の違いについて自己分析する。
本人が話すように昨季は13試合・50イニングを投げて27奪三振だったが、今季は6試合・31イニングで28個の三振を奪う。
力強さを増したストレート
今季の古谷の投球を見ていると、この1年でかなりストレートが力強くなった印象だ。
昨年のシーズン終了直後には「強いボールを投げるというのが一番の課題。一軍から落ちてきた選手とかに、いろいろと話を聞いて、一軍と二軍の違いを聞いた感じだと、変化球だと逃げられないとおっしゃっていました。まっすぐの強さ、キレ、そういうところをしっかりと磨いていきたいと思います」。先輩たちの話を聞いて、一軍の舞台で投げるために、“ストレート”の強化をしていくと決意した。
1月の自主トレでは、「打者の反応とかを見てみないとわからない部分があると思うんですけど、投げている感触は秋のキャンプのときよりいい感じになっているのかなと思います」と話し、2月の春季キャンプ中も「変化球よりまっすぐを多めに投げて、自分の良い感触を掴めるまでずっとシャドーなり、立ち投げするなり、色々試してやっています」と“ストレート”を中心に取り組んでいた。
3月20日のソフトバンクとの一軍練習試合では「吉井さんにまっすぐで勝負できるように言われていました。そこを意識して、まっすぐを多めに投げるようにしました」と振り返るように、48球中29球がストレート。2回に甲斐拓也から見逃し三振を奪ったアウトコースの145キロストレートは非常に良いボールだった。最速148キロを計測し、ストレートはほとんどが140キロ台中盤をマークした。
その一方で、「松田さんにホームランを打たれたのもあったので、鍛えなきゃなという実感した試合ではありました」と146キロのストレートをレフトスタンドに運ばれ、一軍で投げる中で課題も見つかった。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、プロ野球の開幕が6月19日に変更となったが、コロナ後の投球を見てもかなり力強いボールを投げ込んでいる。
試合の映像を見ていると、“右打者へのインコースのストレート”が良い。6月20日のDeNA戦で、初回に細川成也を見逃し三振に仕留めたインコースのストレート、同月27日の西武戦の2回に佐藤へ投じたインコースのストレートは、とても素晴らしかった。
リーグ優勝を争うチーム状況のなかでのプロ初登板。天気がかなり心配だが、ここまで取り組んできたことを一軍の舞台で思う存分発揮して欲しい。
文=岩下雄太