192試合目での100勝到達は歴代7位
10月6日、巨人対DeNAの試合で巨人の菅野智之投手(30)が7回3失点と好投し、今シーズン13勝目をマークした。この勝利で、堀内恒夫氏が持つ巨人における開幕からの連勝記録に並んだことになる。
また、この白星は菅野にとってこれがプロ入り通算100勝目。NPB史上138人目ながら、平成生まれの投手としては初めての快挙でもあり、まさにメモリアルな勝ち星となった。ちなみに、2013年から足掛け8年、192試合目での100勝到達となっている。これは歴代7位のスピード記録だ。
ちなみに1位は、巨人の大先輩であるスタルヒンの165試合となっており、菅野は27試合遅れ。とはいえ、スタルヒンが活躍したのは約80年前のプロ野球黎明期。1939年に68試合に登板して42勝を挙げて通算100勝に到達しており、及ばないのも当然と言えば当然だ。
このスピード記録に限らず、金田正一の400勝や4490奪三振、藤本英雄の防御率1.90など、NPBにおける投手の通算記録の多くは50年以上前のものであり、もはや更新することは不可能に近いもの。投手記録で更新できる可能性があるのは、制定が比較的新しい中継ぎ投手の項目くらいだろう。
しかし、菅野がこれからもNPBでプレーし続ければ、偉大なレジェンドを凌ぐ可能性を秘めた記録がある。それが「通算勝率」だ。
菅野の勝率.680は歴代2位相当?
現時点で菅野は100勝47敗の成績を残しており、勝率.680となっている。
通算勝率のランキング上位の顔ぶれを見ると、藤本英雄(.697)、稲尾和久(.668)、斎藤雅樹(.652)となっている。NPBにおける通算勝率は2000投球回以上が対象となっているため菅野(1337投球回)はまだランクインしていないが、ランキングに当てはめてみると、歴代2位相当の記録であることがわかる。
残り663投球回を今後4シーズンで到達すると考えたとき、10勝5敗ペースで推移すれば140勝67敗となり勝率.676となる。現時点より多少勝率は下がるものの、それでも歴代2位には顔を出してくる。
今年のように神がかり的なシーズンを1シーズン(15勝0敗)つくり、残り3シーズンを10勝5敗で回ることができれば、勝率はちょうど7割。つまり、藤本を抜き歴代1位に躍り出るわけだ。菅野の完成された投球と巨人のチーム状況を見ていると、可能性がないとも言い切れないだろう。
かつてはエースが毎日のように登板し、先発と中継ぎをこなすことも珍しくなかった。そのため登板数や勝ち星は今と比べ物にならないほど多かった。しかし現在は、先発ローテーションが確立され、さらには分業制である。そのなかで、先発投手が名を連ねるランキングのトップに立つのは凄まじいこと。
MLB挑戦もささやかれる球界のエース・菅野。これからのプロ野球人生がどうなるかはまだわからないが、もしNPBで選手生命をまっとうするようであれば、難攻不落と思われていた先発タイプの投手が名を連ねるランキングでトップになる日がくるかもしれない。
<通算勝率>
※2000投球回以上
1位(.697)藤本英雄 200勝 87敗(2628回1/3)
2位(.668)稲尾和久 276勝137敗(2840回)
3位(.652)斎藤雅樹 180勝 96敗(2375回2/3)
4位(.648)杉内俊哉 142勝 77敗(2091回1/3)
5位(.638)杉浦 忠 187勝106敗(2413回1/3)
参考(.680)菅野智之 100勝47敗(1337回)
※数字は2020年10月7日終了時点