最速152キロを計測!
この時を楽しみにしていたマリーンズファンは多かったのではないだろうかーー。
地元千葉県出身のロッテ・古谷拓郎が10日のソフトバンク戦で、一軍初登板を果たした。
0-3の3回からマウンドにあがると、先頭の周東佑京に150キロのストレートで右飛に打ち取る。中村晃に四球を与え、柳田悠岐にライト前に弾き返され失点。ここで崩れなかった。グラシアルをプロ初奪三振となる148キロのストレートで空振り三振、川島慶三も148キロのストレートで空振り三振に斬って取った。
4回は3つの四球で満塁のピンチを招くも周東を131キロの変化球で空振り三振、中村晃を148キロのストレートで中飛に仕留めた。3イニング目となった5回はグラシアルにレフト前に運ばれたが、前の打席に適時打を浴びた柳田、川島から三振を奪うなど無失点。
プロ初登板は、3回を投げ3安打、5奪三振、4四球、1失点で、ストレートの最速は152キロを計測し、150キロ以上を9球記録した。
強いストレートを求めて
この日のプロ初登板で152キロをマークしたが、昨季はフェニックス・リーグで中日・根尾昂に対し記録した149キロが最速だった。
昨年までの印象はコントロールが良く、リズム良く投げ、時折走者がいないときもクイックを入れて打者のタイミングをズラすなど、個人的にはパワー系というよりも球のキレで勝負していくというイメージだった。
リリーフで登板し1回5失点を喫した昨年7月15日の西武との二軍戦では、「球速を出しにいくタイプではないのに、スピードを意識してしまった部分があって、コースが甘くなったりとか、出しにいった割にスピードも変わらなかった」とスピードを求めて崩れるということもあった。
ただ、プロ1年目からファームで実戦を経験し、また一軍でプレーした先輩の若手投手から話を聞いた中で、プロの世界で生き抜くために“強いボールを投げる”ことの重要性を痛感。
昨年のフェニックス・リーグから“強いボール”を手にするため、トレーニングに励んできた。自主トレでは「強いボールを投げられるフォームをネットスローとかやって研究中です。それをキャンプでうまく表現できるように、ずっとオフシーズンやっていたので、再現できるようにという感じですね」と“強いストレート”を手にするため試行錯誤した。
春季キャンプでは、「種市さんと動画を撮りあったりして、自分のイメージしているフォームと実際に動いているフォームの誤差を埋めたいというのがある。(動画を見て)自分と違っている部分もあったので、もっとこう動かしているのに、思ったより中に入っているとか、肩が反っているとかあった。それは良い練習ができていると感じています」と自身が投げている動画を見て確認し研究。ブルペンでは「変化球よりも真っ直ぐを多めに投げて、自分の良い感触を掴めるまでずっとシャドーなり、立ち投げするなり、色々試してやっています」と“ストレート中心”に投げ込んだ。
自身で課題点をみつけ、その課題を克服するために、どうトレーニングをしていくべきか考え取り組んできた。この日、ストレートは全て145キロ以上を計測。球に力強さが出てきた。ただ、制球の良さが持ち味のひとつだが、15人の打者に対して9人に対し初球がボールになるなど“らしくない”部分もあった。
プロ初登板を経験して、何ができて、何が足りなかったのかを野球ノートに記していることだろう。昨年ファームで実戦経験を積む中で、毎回課題、テーマを持ってマウンドにあがり、それをクリアし成長していった古谷。プロ初登板の経験をどう生かし、修正してくるか非常に楽しみだ。
文=岩下雄太