◆ 初回無死満塁で村上を迎えるも…
広島のドラフト1位ルーキー・森下暢仁投手(23)は10日、本拠地・マツダスタジアムで行われたヤクルト戦に先発登板。初回は無死満塁、6回には一死満塁という絶体絶命のピンチを2度切り抜け、6回無失点の力投で今季8勝目(3敗)を掴んだ。
大分商高から明治大を経て、2019年のドラフト1位で加入した右腕。「大学No.1投手」の評判に恥じぬ能力をプロの舞台でも発揮し、1年目から先発ローテーションに定着すると、この試合前時点でチームトップの7勝をマーク。規定投球回には未到達ながら、防御率も2.43とエース級のはたらきでチームを支えている。
しかし、この日は立ち上がりに試練。連打と四球で無死満塁というピンチを招き、打席には4番の村上宗隆。リーグトップの得点圏打率を誇る強打者を迎えるという絶体絶命の状況になったが、相手の粘りに負けずに最後は直球で空振りの三振。
強気の投球でひとつアウトを取ると、5番の青木宣親は内野ゴロ、6番の中山翔太は150キロまっすぐで3球三振に仕留め、大ピンチを無失点で切り抜けた。
その後、2回は三者凡退、3回は二死から山田哲人に四球を与えるも無失点で切り抜け、4回も三者凡退。
5回は先頭の中村悠平に安打を浴びるも、9番のアルバート・スアレスは見事なバント処理で投ゴロ併殺。自らの好プレーでここも打者3人斬りと、初回以外は危なげない内容でゼロを並べていく。
すると、打線もルーキーを援護。1-0の5回、一死から堂林翔太が安打で出ると、菊池涼介は四球を選んで一死一・二塁。ここで森下に打席が回ってくるが、森下の犠打はスアレスの野選を誘い、オールセーフで一死満塁に。
このチャンスに、1番に入るドラフト2位ルーキーの宇草孔基が応える。149キロ速球を叩いた打球は前進守備の内野を破ってセンターへ。思わずガッツポーズも飛び出す貴重な適時打で、同期入団の森下に大きな2点をプレゼントした。
3-0となった6回、マウンドに登った森下は先頭を三振に斬るも、山田に安打を浴びると、さらに村上には四球、青木には死球と制球を乱して大ピンチ。初回ぶりの満塁も、ここでギアを上げられるのが右腕の強み。
代打の宮本丈はフルカウントから変化球で空振り三振に仕留め、つづく西浦直亨はストレート3球で見逃し三振。球数が100球を超えた中でも力で相手を封じ込め、2度目の満塁も無失点で切り抜けた。
◆ 新人王争う戸郷はあす先発
この日は与四死が4つと制球に苦しんだ部分もあり、6回・105球で降板。それでも、2度の満塁のピンチを見事に切り抜けるなど、8奪三振で無失点の力投。良くないなかでも試合を壊すことなく、終わってみれば無失点というルーキー離れした姿を見せつける。
7回からは継投へ。まずはケムナ誠が1回を1奪三振で無失点の好リリーフを見せると、8回は今季ブレイクした左腕の塹江敦哉がきっちりと3人斬り。
3-0で迎えた9回はストッパーのヘロニモ・フランスアが先頭の青木に安打を浴びるも、代打の荒木貴裕を内野ゴロで注文通りの併殺。最後は代打の西田明央を空振り三振に斬り、完封リレーが完成。
投げてはドラ1の森下、打ってはドラ2の宇草と、投打のルーキーが躍動した広島が快勝。連敗を2でストップした。
6回無失点の力投を見せた森下はこれが今季の8勝目。新人王を争う巨人・戸郷翔征(8勝4敗)に勝ち星で並んだ。
なお、戸郷はあすの中日戦に先発予定。残り30試合を切ったプロ野球の2020年シーズン。生涯一度きりのタイトルをかけた2人のレースから、目が離せない。
文=尾崎直也