優勝の夢が絶たれ、下した決断…
DeNAは24日、広島戦を戦った後の横浜スタジアム内で会見を開き、アレックス・ラミレス監督が今季限りで退任することを発表した。
会見には三原一晃球団代表と、試合を終えたばかりのラミレス監督が出席。冒頭、代表から「昨日の夜、セ・リーグの優勝の可能性がゼロになったことを受けて、ラミレス監督から『監督の職を今年で終わりにしたい』という申し入れがあった。南場オーナーと岡村球団社長と連絡を取り、会社として正式に受け入れるという運びになった」と説明。
つづけて、「DeNAベイスターズとして初めての日本シリーズ、CSと、まだ我々が知らない世界に連れて行ってくれた監督。チームを戦えるレベルの球団に引き上げてくれた面で感謝している」と、5年間の実績に敬意を表した。
また、「これで縁が切れるということではなく、組織の中になにかしらのポジションを検討していきたい」とも語っており、球団に残る可能性にも言及している。
「後悔は一切ない」
ラミレス監督は「今年は沖縄キャンプから素晴らしい時間を過ごせて、優勝に必要なものは全て整えられた。打率は日本一の数字で、チームメイト同士が首位打者を争う状況で、ホームラン数のジャイアンツと昨日まではタイで、防御率も4位だがいい数字。しかし、残念ながら昨日優勝の夢は絶たれてしまった。このような結果を招いてしまった責任はしっかりと取らなければいけないと思い、昨夜辞任することを決めました」と、決断の理由を説明。
つづけて、これまでを振り返り、「5年間監督をさせて頂いて、80%はデータ・20%はフィーリングの決断スタイルをしてきた。素晴らしいチームを用意してもらって、自分の信じるやり方でやってこれた。後悔は一切ない」と言い切った。
選手やコーチ、スタッフには「今朝伝えた」とのことで、「選手の中にはショックを受けたり、今後はどうなるかという表情も見れた。素晴らしい選手たちが100%ベストを尽くして勝利のためにプレーし続けてくれたからこそ、この5年間があったと、感謝を伝えた」と、共に戦った仲間を労ったという。
“秘蔵っ子”の佐野恵太については、「去年までバックアップの選手がキャプテンになり、レギュラーになり、4番として素晴らしい成績をあげてくれて、このチームの将来を担ってくれる選手に成長してくれたことは良かった。もしかしたら僕がした決断が間違ったほうに行くかもしれないにもかかわらず、彼は結果を残してくれた。ベリースペシャルプレイヤー」と、感慨深げに語る。
最後は笑顔で「バモス」
開幕時には、「若手・中堅・ベテランが融合したチームはさらなる進化を遂げており、いよいよ成果をあげる“集大成”の一年となります」と、今年は“優勝しかない”と臨んだ2020年。
佐野恵太を筒香嘉智の後釜として育て上げ、梶谷隆幸の復活をアシストするなどの手腕には唸らされたが、一方で今永昇太や平良拳太郎の故障離脱に、絶対的守護神だった山崎康晃は絶不調…。期待の大砲タイラー・オースティンは度重なるケガに泣かされるなど、ネガティブな要素がどうしても多かった。
それでも、「野球でありスポーツなので、当然ケガはありますし、それを含めて勝ったり負けたりするのが野球。それは仕方のないこと」と、言い訳にする事はない。
また、会見で何度も口にしたのはファンへの感謝。「ファンのサポートは年々大きなものになっていって、監督になって1年目は相手チームのファンが多かったが、年々年々DeNAのファンが増えて行った。横浜は一番の都市。スタジアムもチームもファンもグレーテスト」語り、「今までのご支援、サポートを本当に感謝しています」と繰り返した。
2016年からベイスターズを率いたラミレス監督は、就任1年目にチームを史上初のCSに導き、翌年は日本シリーズまで進出させた。
昨年はリーグ2位の成績で、念願の本拠地CSを達成。通算300勝をあげたことには、「今後も付いてくる数字」と胸を張った。
長年CS進出が目標だったチームを優勝を狙える位置まで押し上げ、横浜を熱狂させた名将は、いつものように明るい笑顔で「バモス」と語り、サムズアップして会場を去った。
最後までポジティブな“ラミ流”を貫き通し、5年間握っていたタクトをそっと置く。
取材・文=萩原孝弘