最新技術でデータ採集
DeNAは10月30日から11月1日にかけて行われる阪神3連戦において、現在の1万6000人の上限を撤廃し「Withコロナにおける大規模イベントガイドライン策定に向けた技術実証」を実施。30日の試合前に報道陣に向けて説明会を行った。
実証の結果は来年のオリンピックにも活用されるため、海外からも多くのメディアが参加。約120人の報道陣が横浜スタジアムに詰めかけた。
まずゲートにはコロナ接触確認アプリ「COCOA」のインストール率を調査するビーコンを設置。イベント時の感染予防と、会場にコロナ罹患者がいる前提でのリスクコントロールを目指す。また、このビーコンはトイレやショップにも設置され、人の流れや人数を時間率で捉えることも可能となっている。
コンコースやスタンド内には高精細カメラが設置され、映像解析による混雑度やマスク着用の自動判別も行う。CO2測定器も合計で31台設置され、濃度変化や密集度、換気の悪い時間などを測定し、風速計も元からあった1台に加え、もう1台増設。風の流れなどのデータ集積に役立てる。
LINEビーコンも、トイレ、フードエリア、売店に39台設置。アカウントをフォローすると、スマホで混雑度をチェックできる。また、観戦後14日の間に、体調に関するアンケートを複数回に分けて送り、データを収集するという。
通常のイベント再開に向けて
DeNAベイスターズの木村洋太副社長は「この取り組みをキッカケにして、今後少しづつ人間らしい生活を、コロナに打ち克てる人間生活を」とし、横浜スタジアムの藤井謙宗社長も「今回の新しい取り組みで、コンサートやラグビーやサッカー、室内スポーツなどのコロナ禍の新しい観戦スタイルに活かしていけるように」と意気込みを口にした。
今回のデータは、取りまとめられた上で政府に報告され、細かく分析されるとのこと。「お客様と一緒に作り上げていく明日への実証」は、来年のプロ野球、そしてオリンピックに向けた重要な第一歩となる。
取材・文・写真=萩原孝弘(はぎわら・たかひろ)