2020.11.08 13:00 | ||||
千葉ロッテマリーンズ | 8 | 終了 | 2 | 埼玉西武ライオンズ |
ZOZOマリン |
生え抜き打線が機能
2位・ロッテは8日、3位・西武との直接対決に8-2で勝利し、クライマックスシリーズ進出を決めた。
先発・小島和哉が2回に2点を失い、前日のオリックス戦に続き先制点を許す試合展開となった。
“生え抜き打線”が意地を見せた。0-2の3回、四球と安打で一死一、三塁の好機を作ると、1番・荻野貴司が放った打球は三塁・スパンジェンバーグへの痛烈な正面のゴロ。ダブルプレーかと思われたが、三塁のスパンジェンバーグがボールを見失い、その間に三塁走者の田村が生還し1点を返す。二死後、菅野剛士の適時打で同点に追いつくと、2-2の4回に藤岡裕大の第4号ソロで勝ち越しに成功した。
6回は今季のマリーンズを象徴するような攻撃となった。二死一、二塁から荻野が一塁へ内野安打を放つと、ベースカバーに入った平井克典が審判判定を求める間に、二塁走者の井上が三塁ベースを蹴ってホームを狙う。平井も慌てて本塁へ送球するも、これが悪送球となり、二塁走者の井上に続き、一塁走者の安田も生還。次の塁を狙う積極的な走塁で、相手のミスを誘い得点すると、続く2番・藤原恭大が左中間を破る適時二塁打が飛び出し、この回3点を挙げた。
8回には中村奨吾のライト前の適時打で、さらに2点を追加。負けられない大事な一戦で9安打、9四死球、8得点を奪った。
井口資仁監督が就任した18年からレギュラーとして出場する藤岡が決勝弾、中村が適時打、ベテランの荻野が適時打、若手の藤原が2安打1打点、安田も1安打と、“若手”、“中堅”、“ベテラン”がうまく機能した。
【8日西武戦のロッテのスタメン】
1(右)荻野貴司 09年D1位(社会人)
2(中)藤原恭大 18年D1位(高校)
3(左)菅野剛士 17年D4位(社会人)
4(指)清田育宏 09年D4位(社会人)
5(二)中村奨吾 14年D1位(大学)
6(一)井上晴哉 13年D5位(社会人)
7(遊)藤岡裕大 17年D2位(社会人)
8(捕)田村龍弘 12年D3位(高校)
9(三)安田尚憲 17年D1位(高校)
チームの顔と呼べる中心打者の誕生を!
この日は“生え抜き打線”が機能したが、シーズン通してみると、チーム打率はリーグワーストの.234、89本塁打と457得点はいずれもリーグ5位の成績だ。今季は投手陣が安定し2位を確保できたが、リーグ制覇、さらには黄金時代を築くためにも、チームの顔と呼べる生え抜きの“中心打者”を1年でも早く確立したいところだ。
その候補に当たりそうなのが、8日の西武戦でも先発出場した安田と藤原か。昨季ファームで打点と本塁打の二冠に輝いた安田は、開幕してからしばらくは当たりが出なかったが、7月7日の西武戦で今季初本塁打を放つと、サード、ファースト、指名打者でのスタメン出場機会を増やし、7月21日の西武戦から10月30日の楽天戦にかけて4番に座った。
ソフトバンクと優勝争いを演じていた10月3日の西武戦では、「外野フライを打てればいいと思って打席に入っていたので、それが最高の結果になった。勝負の決まる打席で結果が出てよかったなと思います」と値千金の決勝3ランを放てば、CS進出に向け絶対に負けられない11月5日のソフトバンク戦では左中間へ逆転の2点適時二塁打を放った。
藤原は、福田秀平がソフトバンクからFAで獲得し外野の層が厚くなり、昨年の安田と同じように開幕からみっちりと二軍で実戦経験を積んでいたが、新型コロナウイルス感染で“特例2020”の対象選手として一軍登録抹消された“代替指名選手”での昇格。
今季初スタメンとなった10月7日のオリックス戦に『1番・レフト』で先発出場すると、第3打席に「ストレートでやられて、2打席目は変化球にやられたので3打席目はストレート一本に絞って初球から積極的に打ちました」とアルバースの初球のストレートを振り抜き、ライト前に弾き返す今季初安打を放った。
9日のソフトバンク戦でプロ初の猛打賞、14日の楽天戦で涌井秀章の初球をプロ初本塁打となる先頭打者本塁打、16日の日本ハム戦も先頭打者本塁打を放つなど、このチャンスを掴もうと必死にアピールした。コロナで離脱していた主力組が戻ってきてからもスタメンで出場し、7日のオリックス戦では逆転の3ラン、CS進出を決めた8日の西武戦では6回に適時二塁打と、ここ一番での勝負強さを発揮する姿は頼もしい。
昨年の今頃は藤原がロッテ浦和球場でファームの秋季練習に参加し、安田はプエルトリコのウインターリーグで腕を磨いていた。あれから1年が経ち、一軍の戦力として優勝争い、CS争いを経験した。今季の成長を見ていると、かなり気は早いが1年後、チームの中心打者として活躍している可能性は十分に考えられる。
文=岩下雄太