「自分のボールしっかり投げる」
ヤクルトのドラフト1位ルーキー・奥川恭伸が10日の広島戦(神宮)で先発する。一軍初登板を控え、「徐々に緊張感も増してきています」と答えた黄金ルーキー。7日に出場選手登録され、東京ドームの巨人戦でベンチ入りした際には「自分も早く(マウンドに)立って投げたいという思いになりました」と、一軍で投げる姿を思い浮かべていた。
イースタン・リーグ最終戦となった1日の日本ハム戦(鎌ケ谷)では5回無安打無失点で“初勝利”を手にした。しかし、本人は「調子は悪かったです。ただ、悪い中でもしっかりゲームを作ろうと思っていたので、ゲームをしっかり作れたことは良かったんですけど、内容がまだまだ」と、この日は満足できる投球ではなかったことを振り返った。
しかし、ファームで1年間培った経験は今後に向けて大きな財産となった。「ファームでいろいろな練習をやれたので、今度の登板は練習の成果をしっかり出していけるように落ち着いて投げたいと思います」
本拠地・神宮球場で迎えるチームの今季最終戦が、一軍初登板の舞台となる。どんな投球を見せてくれるのか、大いに注目が集まる。「体調はすごくいいです。(7日に)初めて(東京)ドームのプルペンで投げて、一軍の球場のマウンドの硬さをすごく感じたので、神宮のマウンドにしっかり対応していけるようにやっていきたいと思います」
広島打線が相手となるが、自分自身の投球に徹する。「まず自分がやらなければいけないのは自分のボールをしっかり投げることなので、相手がファームから一軍に変わりますけど、しっかり自分のやれることに集中していきたい」
さらに、「もちろん抑えて勝つというのが一番いい形かなと思いますけど、まずは打たれるか打たれないは別として、しっかり自分のピッチングをすることを心がけて、ケガなく終わりたいと思います」と、冷静に足元を見つめている。
指揮官も「非常に楽しみ」な登板
指揮官も奥川の一軍デビューを心待ちにしていた。高津臣吾監督は「彼が一軍で投げる姿を一日でも早く見たいとずっと願っていました。それがやっと叶う日が来たので、どういう結果になるかわからないですけど、非常に楽しみにしています。これが来年以降に必ず生きてくる最初の登板になると信じています」と、奥川が“未来のエース”になるための第一歩になることを期待している。
奥川自身も「いろいろ自分で感じるものもあると思うので、しっかり自分のものにできるように。チームの最終戦なので、自分もチームも後味良く終われるように一生懸命頑張っていきたいと思います」と、一軍初登板を今後の糧にするつもりだ。
ヤクルトは今季、2年連続の最下位が決定している。ツバメ党にとっても悔しいシーズンとなったが、来季以降へ向けて希望の光となるだろう最速154キロ右腕の一軍デビュー戦。指揮官もファンも待ち望んだ日が、いよいよ訪れる。
文=別府勉(べっぷ・つとむ)