セットアッパーとして活躍
ロッテは9日、大谷智久投手に対して来季の契約を更新しない旨を通知したことを発表した。
大谷は報徳学園高、早稲田大、トヨタ自動車を経て09年ドラフト2位でロッテに入団。伊東勤監督時代には当時抑えを務めていた西野勇士に繋ぐセットアッパーとして、14年に49登板、23ホールド、防御率1.94、15年に56登板、32ホールド、防御率2.39。クライマックスシリーズに進出した15年と16年は、セットアッパーとして抜群の存在感を見せた。開幕から投打がかみ合わず最下位に沈んだ17年も、チーム最多の55試合に登板して、防御率3.12の成績を残した。
井口資仁監督が就任した18年も45試合に登板したが、防御率は5.40。昨季はファームで34試合に投げて、防御率1.57という数字を残したが、一軍の登板はわずかに2試合にとどまった。
今年1月に大谷は「(昨年は)最後の2試合上で投げたときに、2戦、2敗と結果を残せなかったのが僕の足りなさ。特別変わることはないですけど、より高いレベルで勝負できるように、選手でいる以上やっていきたい」と意気込み、自主トレで汗を流していたが、新助っ人としてハーマン、シーズン途中には巨人からトレードで澤村拓一が加入し、リリーフ陣の層が厚くなり一軍の出番がなかった。
ファームで黙々と試合に向けた準備
昨年は一軍からなかなか声がかからなかった中で、悔しい思いはあっただろうが、そういった姿を一切見せることなく、黙々と試合に向けて練習している姿があった。特にロッテ浦和球場での二軍戦の試合前練習前、外野を一人黙々と走る姿は強く印象に残っている。
今年1月の取材で大谷は「僕自身やるべきことは、ファームであっても、そこに対しての準備は上と変わらない。自分がやるべきことをやっていたという感覚」と話し、「(ファームには)いろんな(立場の)人間がいるので、いろんなとこを下が見て、いいバランスが取れてベテラン、中堅、若手となっていくのが一番。そういう意味でも、僕もしっかりしないといけないなという意識はしています」と明かしてくれた。場所が一軍であっても、ファームであっても、自分の仕事のために最善を尽くすのがプロ。マリーンズでは、それを全うしてきた。
今季は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、ロッテ浦和球場でのファーム取材ができなかったため、大谷の試合前の練習を見ることができなかったが、おそらく今季も変わらず黙々と試合に向けて準備をしていたことだろう。
球団の発表によると、大谷は現役続行を希望しているという。練習に取り組む姿勢、試合に向けた準備は若手にとっていいお手本になるはずだ。来季も他球団のユニホームを着て、プレーすることを強く願っている。
文=岩下雄太