日本シリーズ出場をかけて…
11月14日(土)、パ・リーグのクライマックスシリーズが開幕。3勝先取の4試合制で行われる、日本シリーズの出場権をかけた決戦。3年ぶりのリーグ制覇を成し遂げたソフトバンクが、2位・ロッテの挑戦を受ける。
13日には予告先発投手が公示。ソフトバンクはエースの千賀滉大、ロッテは美馬学に初戦の先発を託すことが発表された。
千賀はキャンプ中にふくらはぎや腕の違和感を発症したため調整が遅れ、3カ月遅れた6月19日の開幕にも間に合わず。7月上旬に一軍登板を果たすものの、7月は月間防御率4.18、8月を終えても防御率は3.67と、ややらしくない姿も見せていた。
ところが、9月は2勝3敗と負け越しながらも月間防御率2.15と安定した投球を取り戻し、10月は4試合に登板して自責点0。11月4日のロッテ戦でも8回無失点の快投を見せ、自身初の最優秀防御率のタイトルを獲得。単独ではないものの最多勝と最多奪三振のタイトルも手中に収め、最終的には“投手三冠”でポストシーズンを迎えている。
対ロッテも2勝1敗と勝ち越しており、直近の2試合はいずれも8回無失点と圧倒中。エースとして役割を果たし、突破に王手をかける白星をチームにもたらすことができるだろうか。
一方、ロッテも初戦にうってつけの存在を持ってきた。今季加入したベテランの美馬は、ソフトバンク戦に7試合も登板して5勝1敗。今季の総勝利数のうちの半数をソフトバンクから挙げているのだ。
思えば、楽天時代の昨季もソフトバンクには7試合に登板して3勝1敗、防御率1.97という好成績。今季最終戦となった11月5日の試合もソフトバンクが相手で、8回途中1失点の力投で2ケタ・10勝目を掴んでおり、良いイメージを持って決戦に臨むことができる。
ロッテは4試合で3勝を挙げなければならず、負けた瞬間に崖っぷち。エース・石川歩も不在という厳しい状況ではあるが、それでもこれまでに幾度もの困難を乗り越えて“下剋上”を成し遂げてきた過去がある。思い返して見ると、2005年も2010年も、今年と同じ福岡の地で日本シリーズ出場権を勝ち取り、そのまま頂点まで登り詰めた。歴史を再現することはできるだろうか。
注目の第1戦は、11月14日(土)の13時にプレイボール。また、ソフトバンクとロッテの主な先発陣と今季の成績は以下の通り。
質・量ともに申し分なしのソフトバンク
・千賀滉大【最終登板=11月4日(8回・103球)】
[今季成績] 18試(121.0回) 11勝6敗 奪三149 防2.16
[対ロッテ] 3試(22.1回) 2勝1敗 防2.42
・東浜 巨【最終登板=11月5日(7.2回・135球)】
[今季成績] 19試(119.0回) 9勝2敗 奪三102 防2.34
[対ロッテ] 5試(31.2回) 2勝1敗 防3.41
・石川柊太【最終登板=11月9日(3回・48球)】
[今季成績] 18試(111.2回) 11勝3敗 奪三103 防2.42
[対ロッテ] 2試(13.0回) 1勝1敗 防2.77
・和田 毅【最終登板=10月27日(6回・82球)】
[今季成績] 16試(85.2回) 8勝1敗 奪三75 防2.94
[対ロッテ] 3試(17.1回) 2勝0敗 防0.52
・ムーア【最終登板=11月9日(3回・54球)】
[今季成績] 13試(78.0回) 6勝3敗 奪三89 防2.65
[対ロッテ] 4試(26.2回) 0勝2敗 防2.36
・笠谷俊介【最終登板=11月1日(5回・102球)】
[今季成績] 20試(57.0回) 4勝4敗 奪三67 防2.84
[対ロッテ] 3試(9.2回) 0勝1敗 防2.79
ソフトバンクはアドバンテージの1勝があるため2勝で突破。もっと言えば、勝ち数で並んだ場合もリーグ順位の優位から突破となるため、1勝1分でも良い。もし初戦をエース・千賀で落とすようなことがあっても、まだ焦ることはない。
加えて、今季の先発陣は他球団がうらやむような陣容。最多勝と最高勝率の二冠に輝いた石川柊太に、9勝を挙げた東浜、8勝を挙げた和田、6勝もシーズン途中から本領を発揮したムーアらが2戦目以降に控えている。
どの投手も防御率2点台と安定した投球を見せており、数字からロッテへの苦手意識が見て取れる選手も不在。3つ負けるイメージは湧きづらいところだが、ここをロッテがどう攻略していくか。大きなポイントとなりそうだ。
エース不在のロッテは“キラー”がカギ
・石川 歩【最終登板=11月9日(2回・37球)】
[今季成績] 21試(133.1回) 7勝6敗 奪三77 防4.25
[対ソフトバンク] 5試(31.2回) 2勝2敗 防3.41
・美馬 学【最終登板=11月5日(7.2回・89球)】
[今季成績] 19試(123.0回) 10勝4敗 奪三88 防3.95
[対ソフトバンク] 7試(46.2回) 5勝1敗 防2.70
・小島和哉【最終登板=11月8日(2回・43球)】
[今季成績] 20試(113.1回) 7勝8敗 奪三83 防3.73
[対ソフトバンク] 1試(5.2回) 0勝0敗 防3.18
・二木康太【最終登板=11月7日(6回・90球)】
[今季成績] 15試(92.2回) 9勝3敗 奪三79 防3.40
[対ソフトバンク] 4試(25.1回) 3勝0敗 防3.20
・岩下大輝【最終登板=11月8日(2.1回・40球)】
[今季成績] 17試(90.0回) 7勝7敗 奪三74 防4.20
[対ソフトバンク] 1試(6.0回) 0勝0敗 防3.00
・中村稔弥【最終登板=11月9日(3回・55球)】
[今季成績] 16試(64.0回) 2勝5敗 奪三40 防4.78
[対ソフトバンク] 3試(9.2回) 0勝3敗 防11.17
・チェンウェイン【最終登板=11月4日(6回・96球)】
[今季成績] 4試(26.0回) 0勝3敗 奪三14 防2.42
[対ソフトバンク] 2試(14.0回) 0勝2敗 防2.57
挑戦者のロッテは4試合で3勝が必要。細かく言えば2勝2分でも突破だが、とにかく初戦から負けられない戦いが続いていく。
そんな中、上でも触れたとおり石川歩が11月9日のシーズン最終登板で負傷。クライマックスシリーズでの登板は絶望的となっており、戦前からかなり厳しい状況であることは間違いない。
そこでカギを握るのが、初戦に先発する美馬のような“鷹キラー”の存在。美馬と並び、ソフトバンク戦で頼りになるのが二木康太だ。
今季の成績も4試合に登板して3勝。昨季から負けなしの7連勝中という驚異の好相性ぶり。美馬と二木が期待に応えて2つ勝てば、あとひとつは自慢のリリーフ陣を総動員した総力戦で…というシナリオも描くことができる。
下剋上を実現するためには、“鷹キラー”の奮起が不可欠だ。
2020 パーソル クライマックスシリーズ パ
【第1戦】
ソフトバンク(千賀滉大)- ロッテ(美馬学)
<PayPayドーム 13時00分>