「ライオンズに必要な左の戦力」
リーグ3連覇を逃した西武は20日、来季の逆襲に向けた第一歩を踏みだした。
日本ハムの吉川光夫投手(32)を金銭トレードで獲得。かつて2012年にはパ・リーグMVPにも輝いた実績を誇る左腕を補強した。
渡辺久信GMも「ライオンズに必要な左の戦力」と語っているように、今季は特に“左腕”不足に苦しんだチーム。まずは今季の陣容と成績を振り返ってみよう。
▼ 西武の左腕
※自由契約となった選手は除く
19 齊藤大将 [中]
[今季成績] 7試(10.0回) 0勝1敗 防9.90
[対左成績] 率.417(24-10) 被本1 奪三1 与四死5
20 浜屋将太 [先]
[今季成績] 12試(50.2回) 3勝3敗 防4.97
[対左成績] 率.200(80-16) 被本1 奪三振10 与四死11
27 内海哲也 [先]
[今季成績] 4試(19.0回) 1勝2敗 防4.26
[対左成績] 率.206(34-7) 被本1 奪三2 与四死2
29 小川龍也 [中]
[今季成績] 38試(25.2回) 2勝1敗 防2.10
[対左成績] 率.239(67-16) 被本1 奪三11 与四死14
30 榎田大樹 [先]
[今季成績] 5試(24.0回) 1勝1敗 防5.25
[対左成績] 率.282(39-11) 被本1 奪三4 与四死1
34 佐野泰雄 [中]
[今季成績] 8試(6.2回) 0勝0敗 防1.35
[対左成績] 率.389(18-7) 被本0 奪三1 与四死1
48 武隈祥太 [中]
[今季成績] 3試(3.2回) 0勝0敗 防22.09
[対左成績] 率.500(8-4) 被本0 奪三2 与四死3
49 ショーン・ノリン [先]
[今季成績] 5試(21.1回) 1勝2敗 防6.75
[対左成績] 率.378(37-14) 被本1 奪三10 与四死5
ご覧のように、大半がひとケタ台の登板数。一軍で安定して出番を稼いだ選手と言うと、シーズン途中から先発に定着したルーキーの浜屋将太、西武加入後は左のリリーフとして安定したはたらきを見せている小川龍也の2人くらいだろう。
しかし、その小川もこのオフに「左肘鏡視下関節形成術」を受けており、来季もこれまで通りの活躍ができるかと考えると未知数。今季以上に左腕不足に苦しむ可能性も大いにある。
加わる2枚の新戦力
そんな中で白羽の矢が立ったのが、日本ハムから巨人、日本ハムと渡り歩いて通算214試合に登板している吉川。今回が自身3度目のトレード移籍となる。
2012年には25試合に先発して14勝5敗、防御率1.71という圧巻の成績を残して最優秀防御率にベストナイン、リーグMVPにも輝いたバリバリのエースだったが、近年は中継ぎでの出番も徐々に増加。今季は5試合すべてにリリーフとして登板していて、勝ち負けなしの防御率3.38という成績だった。
西武の場合は内海哲也や榎田大樹といった「シーズン通してのはたらきは計算できずとも、コンディションとタイミングさえ合えばスポット的に登板してくれる左のベテラン先発左腕」がいるため、おそらくリリーフでの出番がメインとなるはず。特に小川の状況が不透明なため、少しでもその穴を埋める存在として期待を寄せていることだろう。
先日行われたドラフト会議でも、最初の指名で入札した大学生左腕の早川隆久(早稲田大→楽天)の獲得は叶わなかったものの、2位で社会人からNTT東日本の左腕・佐々木健を確保。
安定感という点ではやや疑問符も、調子が良い時には150キロを超える剛速球を中心に手が付けられないような投球を展開する投手として知られ、出力の精度さえ上がれば1年目から一軍でフル回転しても不思議ではない。
「左は何人いても良い」と言われることもあるように、“左腕”というのはチームにとっても貴重な人材。西武には実績や実力を持った選手、またこれからの可能性を秘めた選手も在籍しているだけに、あとは彼らがどれだけ力を発揮できるかどうか。ここにかかっている。
新戦力を加え、来季は「左腕不足」の課題を解決することができるか…。リーグ奪還を目指す西武の左投手に注目だ。
文=尾崎直也