リードオフマンとスターターがダブル行使
DeNAは27日、国内FA(フリーエージェント)権を獲得した梶谷隆幸選手(32)と井納翔一投手(34)がFAに関する書類を提出し、権利を行使したことを明らかにした。FA権を行使した選手は12月5日に公示され、翌6日から他球団との交渉が可能になる。
書類提出後、ZOOMでの取材に応じた井納は「来年には35という歳で(権利を)持っていてもしょうがない」ことと、「三原一晃球団代表に宣言残留を認めていただいた」という2つの理由から宣言に至ったことを説明。三原代表からは「今年は特に先発にケガ人が出てしまったところで、ケガなく投げてもらった。いなかったらどうなっていたか分からなかった」と評価されたことも明かし、「金額で球団を決めようという考えは一切ない。声を掛けてくれる球団を含めて考えていければ」と、自身の考えを述べた。
同じく取材に応じた梶谷は、「宣言しても残留を認めて下さるので、その中で他球団の評価も聞きたい」と説明。ベイスターズには「14年間育ててもらってお世話になった。恩情もある」と“横浜愛”も口にし、三原代表からの留意もあったが、「今年は打率がキャリアハイ。野球選手としても、人としても成長したい」との考えから今回の結論に至ったことを明かし、「結局は私の人生なので、自分が悔いのないように決断したい」と熟慮する構えだ。
三原球団代表「マネーゲームはしない原則」
三原一晃球団代表は井納について「比較的年齢面で遅い入団だったが、先発やリリーフの時もあるなどフル回転で働いていただいた。特に先発陣のケガの時にチームを助けてくれる必要な存在」とし、梶谷には今季、「キャリアハイの成績を残してくれた。実力は当然だが、生え抜きとして背番号3を背負うファンからも愛される選手。これからもベイスターズが優勝を目指していく中で必要」と両選手を評価した。
その一方で「マネーゲームはしない原則」としつつ、「他球団との比較の中で、質問や疑問も彼らの中で出てくると思う。丁寧にコミュニケーションと取りたい」と、適宜話し合いを続けていく方針を示し、両選手に「我々は残ってもらいたいと伝えております。良い知らせを心から待ちたい」と残留を期待した。
梶谷は過去2年の不調から見事に復活し、打率.323はリーグ2位、ホームラン19本、53打点、14盗塁と足も見せつけ、リードオフマンとしてチームを牽引した。。井納は先発として6勝7敗、防御率3.94ながら、ローテーションを守り、QSを8度も達成するなど、イニングイーターとしても存在感を示した。
ベテランの少ないベイスターズにとって、貴重な経験値のあるプレーヤー。流出は新たなスタートを切ろうとしているチームにとって大きな痛手となるだけに、DeNAの土台を作り上げてきた功労者ふたりの去就に注目が集まる。
取材・文・写真 / 萩原孝弘