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ロッテ、シーズン通して光った積極的な走塁

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ロッテのレオネス・マーティン(C) Kyodo News

マーティンの走塁での貢献度の高さ


 2007年以来13年ぶりとなる2位でクライマックスシリーズ進出を果たしたマリーンズ。打線はチーム打率、得点圏打率はリーグワーストの.235、.230、得点はリーグワースト2位の461、本塁打もリーグワースト2位タイの90本塁打と、昨季リーグ2位の642得点をマークした得点、そしてマリン移転後最多となる158本塁打を放った前年から大きく打撃成績を落とした。

代打の打率は12球団トップの.286をマークしたが、イニング別では9回の打率(.154)、得点(20)、(得点圏打率.154)は他のイニングに比べて極端に低かった。打線全体が苦しみ得点力不足に陥った時期はあったが、先の塁を狙い“足”を使った攻撃は、シーズン通してできたのではないだろうかーー。

 なかなか出塁ができない中で、1本の安打で一塁走者が三塁、ホームへ生還する場面が数多くあった。特にマーティンの走塁は素晴らしかった。7月10日の西武戦では、2-3の一死一塁からレアードがセンター前に放ったやや浅い安打で、センター・鈴木の守備位置がやや深めだったのを見て、一気に三塁へ進塁。

 8月13日の日本ハム戦では、5-5の7回一死一塁から井上の三塁強襲の内野安打で、ショート方向に打球が転々とする間に一塁走者・マーティンが三塁へ陥れた。9月4日のソフトバンク戦では、1-2の7回一死一、三塁から菅野の右安で、一塁走者のマーティンが三塁へ進塁したということもあった。

 10月1日の日本ハム戦では、0-0の4回二死一、三塁で菅野が二盗した場面、一塁走者・菅野はアウトのようなタイミングだったが、三塁走者のマーティンが少し飛び出したところに、二塁・渡辺が三塁へ送球。その間に菅野が二塁盗塁を決め、マーティンもセーフ。その後、中村のタイムリーにつながった。

 マーティンは次の塁を狙うだけでなく、盗塁でも8月16日の日本ハム戦で、投手・バーヘイゲンのモーションが大きかったこともあり、三塁盗塁成功させるなど、バットだけでなく、“足”での貢献度もかなり高かった。ちなみにシーズン7盗塁だが、三盗は3度記録している。

光った荻野、和田の走塁力


 トップバッターとしてチームを支えた荻野、代走の切り札として一気に今季存在感を高めた和田康士朗も、さすがの走塁を見せている。

 荻野は7月7日の西武戦、0-1の3回一死二塁、センター前にヒットを放ち、二塁走者の柿沼を刺そうとセンター・川越がバックホームするのを見て二塁進塁。10月31日の楽天戦では、1-3の6回無死二、三塁から角中の鋭い当たりのショートゴロで、二塁走者の荻野は角中が打った瞬間にスタートをきり三塁へ進塁する好判断。盗塁といった目に見える数字だけでなく、状況を判断する能力の高さ、相手の動きを見て先の塁を狙う走塁など、数字に現れない部分での走塁を今季も数多く見せつけた。

 開幕直前に支配下選手登録となった和田も、7月7日の西武戦、8-5の8回一死一塁で代走で登場し、西武の投手・田村に足でプレッシャーを与え、藤岡は1球もバットを振ることなく四球を選んだということもあった。8月19日のソフトバンク戦では、0-2の初回一死一塁、中村のセンター前へのヒットで、ランエンドヒットでスタートを切っていた一塁走者の和田が、センター・柳田が捕球してから反転した送球体勢、セカンド・周東がホームに帰ってこないと決めつけたような中継プレーを見て、一気に一塁からホームインと、塁上を縦横無尽に駆け回った。

加藤の存在


 そして忘れてはならないのが、加藤翔平だ。今季出場機会は少なかったが、9月4日からソフトバンクとの3連戦3連勝したときには、加藤の走塁が非常に大きかった。9月4日の試合では、1-2の7回一死一塁からマーティンの中安で一塁走者の加藤が三塁へ。6日の試合は、センター前にタイムリーを放つと、柳田がホームに送球する間に打者走者の加藤が二塁へ進塁。菅野のレフト前に落ちるタイムリーで二塁走者の加藤が生還した。

 9月13日のオリックス戦では、6-2の8回二死満塁からマーティンが放ったレフトへのあたりを後方に守っていた吉田が前に出てきてスライディングキャッチを試みるも打球を弾き、その間に一塁走者の加藤も悠々ホームイン。決して一塁走者がホームインできるような当たりではなかっただけに、素晴らしい走塁だった。

 10月13日の楽天戦では、2-3の8回に牧田からショート後方、左中間を抜ける安打でセンター・田中の守備体勢を見て俊足を飛ばして一気に二塁へ。二死三塁から加藤は、マーティンの打席中にワイルドピッチで同点のホームを踏んだということもあった。


相手のミスを突いた次の塁を狙う走塁


 今季は相手のミスを突いて、次の塁を奪い、それが得点に繋がることも多かった。6月23日のオリックス戦では、5-5の9回一死一塁で同点タイムリーを放った井上の代走で和田が登場し、続く田村の初球、ワイルドピッチとなり一塁から一気に三塁へ進塁。田村が四球、藤岡が申告敬遠で満塁となり、荻野の死球でサヨナラのホームを踏んだ。

 8月20日のソフトバンク戦では、4-4の10回二死一、二塁で佐藤の打席で椎野が暴投。バックネット裏にボールが転々としている間に、フルカウントでスタートを切っていた鳥谷が三塁ベースを回ってホームへ。タイミングは微妙だったが、甲斐からホームベースカバーに入った椎野への送球が若干逸れ、タッチをかいくぐるように鳥谷がヘッドスライディングでホームに生還し、サヨナラ勝ちを決めた。

 9月20日の日本ハム戦では、2-3の9回二死一、二塁、菅野の打席中、捕手・清水が弾く。一塁走者・三木が飛び出し、捕手・清水が一塁へ送球するも悪送球となり、二塁走者の加藤が同点のホームを踏んだ。


井上、レアードも隙あらば


 足の速い選手だけでなく、井上晴哉、レアードといった大柄の選手たちも次の塁を狙う姿勢を常に見せていた。井上は開幕直後の6月26日のオリックス戦、4-5の8回二死一、二塁で藤岡が前進守備の外野の頭を越えるヒットで、一塁走者の井上も激走しホームイン。ホーム生還後、右手の拳を突き上げガッツポーズを見せた。

 11月8日の西武戦では、3-2の6回二死一、二塁から荻野が一塁へ内野安打を放つと、ベースカバーに入った平井克典が審判判定を求める間に、二塁走者の井上が三塁ベースを蹴ってホームを狙う。平井も慌てて本塁へ送球するも、これが悪送球となり、二塁走者の井上が生還した。

 レアードは7月7日の西武戦、3-2の6回無死二塁から井上の右飛で三塁へタッチアップ。レアードは走塁について昨年の取材で「あんまり速くはないですけど、打つ方、守る方をしっかりやらないと。その3つを常に意識してやっています」と話している。

 ここでは紹介しきれなかった以外にも、数多く好走塁を見せた。日本シリーズでソフトバンクの好走塁が話題になったが、ソフトバンクやマリーンズだけでなく、パ・リーグの球団は相手のミス、一瞬の隙を見逃さず次の塁を狙う質の高い走塁を何度も見せてきた。マリーンズの課題は打撃力。この“走塁力”に今季以上に打てれば、相手にとっていやらしい攻撃陣になることは間違いない。

文=岩下雄太
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