山本、山岡、田嶋、宮城、楽しみな先発陣
2年連続でパ・リーグ最下位に沈んだオリックス。山本由伸、吉田正尚という投打の柱を擁しながらも、45勝68敗7分けの借金23でシーズンを終えた。今回は若手選手にフォーカスし、2020年のオリックスを振り返ってみたい。
投手陣では開幕投手を務めた山岡泰輔がケガに苦しみ12試合の登板に終わったものの、4勝5敗、防御率2.60をマーク。新背番号18の山本は2年連続で規定投球回をクリアし、8勝4敗、149奪三振、防御率2.20の好成績で奪三振王のタイトルを獲得した。田嶋大樹は4勝6敗、防御率4.05ながら、シーズンを通してローテーションを守り3年目にして初の規定投球回到達。ドラフト1位の宮城大弥はシーズン最終登板でプロ初勝利をつかみ、今季の高卒新人最速白星をマークした。
中継ぎでは高卒5年目の吉田凌が、自己最多の35試合に登板し防御率2.17と飛躍。同6年目の齋藤綱記、育成上がりの漆原大晟もシーズン後半に一軍定着を果たし、社会人出身の2年目・富山凌雅も貴重な経験を積んだ。
先発、救援とも若手の底上げがあり、チーム防御率はリーグ3位の3.97を記録。中でも先発陣は、山岡、山本、田嶋、宮城だけではなく、鈴木優、榊原翼、張奕ら楽しみな若手が多数。“投手王国”完成へ期待が膨らむ。
太田、紅林、大下らパンチ力秘めた若手に期待
攻撃面は今季も吉田正頼みで、脇を固めるはずだった助っ人陣は期待外れ。得点数は2年連続リーグ最下位で、今季の1試合あたりの平均得点は3.68だった。
2019年に54試合の出場ながら打率.270、出塁率.370をマークした高卒6年目の宗佑磨は、自己最多の72試合に出場するも打率.225、出塁率.288と低迷。同じく高卒6年目の佐野皓大も打率.214、出塁率.262と打力アップを実現できず、武器である俊足を生かす機会を作れなかった。中嶋代行監督の期待も大きかった大卒2年目の中川圭太は打率.146、出塁率.195と大苦戦。1年目の打率.288、出塁率.334を大きく下回り悔しいシーズンとなった。
開幕スタメンに入った中堅どころの後藤駿太、大城滉二らも低調ままシーズン終了。レギュラー格の安達了一、福田周平は期待通りの成績を残したが、彼らの離脱や休養中、その座を脅かす存在がなかなか現れなかった。
今季も若手野手の突き上げは乏しかったものの、20試合の出場ながらOPS(出塁率+長打率).785をマークした高卒2年目の太田椋を筆頭に、育成から這い上がりフルスイングが魅力の大下誠一郎、太田とともに大型内野手として期待される高卒1年目の紅林弘太郎ら、楽しみな存在はいる。
今シーズン不調だった選手も含め、来季こそ正式に新指揮官に就任した中嶋監督を良い意味で悩ませるハイレベルなレギュラー争いに期待したいところ。投手陣は他球団も羨む若手が揃っているだけに、来季こそ攻撃力アップを実現させ“低迷脱却”といきたい。