目標に掲げた1年間投げること
「昨年はいろいろ経験をさせてもらったので、それをしっかりと活かして、1年間投げることを目標にしているので頑張りたい」。
ロッテの小島和哉は、2年目の今季に向けて、1年間ローテーションを投げ抜くことを目標に掲げ、規定投球回にわずかに届かなかったものの、その目標を見事に達成した。
今季に向けたシーズンオフの自主トレでは「3、4勤1休でやっているが、その1休というのはランニングだけとか、ほとんど休まずに動いています。正月も毎日走っていました」と、1月1日には30分間走を行うなど、基礎体力に重点を置き、トレーニングに励んだ。
2月の一、二軍練習試合からオープン戦まで、一時は14イニング連続無失点を記録するなど好調だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて開幕が延期。難しい調整を強いられたが、6月の練習試合でも、2試合で計7イニングを投げて1失点と安定した投球を披露し、開幕先発ローテーション入りを果たす。
安定した投球を披露
今季初登板となった6月24日のオリックス戦で5回4失点も今季初勝利を手にする。開幕直後はやや不安定な投球もあったが、7月22日の西武戦では、昨季0勝2敗、防御率15.63と悔しい結果に終わったメットライフドームで、6回2/3を投げ1失点に抑えた。この日が初めて同学年・高橋光成との甲子園優勝投手”同士による投げ合いとなり、小島に軍配が上がった。
8月26日の楽天戦では、7回を5安打11奪三振無失点に抑え、開幕8連勝中だった涌井秀章に投げ勝った。この試合から3試合連続で7イニング以上を投げ、安定した投球を見せた。
今季初登板から10月7日のオリックス戦にかけて毎週水曜日に先発をしていたが、今季初めて木曜日の先発となった10月15日の楽天戦で7回6失点、続く22日の西武戦で5回6失点。リーグ優勝を争うシーズン最終盤に、やや精彩を欠く投球となったが、1年間故障なく投げ続けたのは立派。
シーズンオフから目的意識を高く持って、トレーニングを取り組み続けたこともその成果のひとつだろう。
左打者を抑える
今季の小島は、昨季被打率.322(90-29)と打ち込まれた左打者を今季は被打率.255(192-49)と抑えことも大きい。
今季初実戦となった2月9日の楽天モンキーズ戦では、「左バッターの被打率が高いので、そこを生かそうと思って、左にチェンジアップを1球投げたんですけど、それも良い軌道ではいっていた。だんだんと実戦慣れしていけば大丈夫かなと思います」とシーズンを想定して、課題克服に励んでいた。
対左打者でいえば、一塁の井上晴哉、二塁の中村奨吾の好守備もあり、首位打者に輝いた吉田正尚を8打数0安打と封じ込んだ。雨が降りしきるなか行われた10月7日のオリックス戦では、3-1の5回に先頭打者の藤原恭大が安打を放つもあとが続かず無得点、6回に先頭打者の安達了一にライト前に運ばれた中で、続く吉田正尚を2ボール1ストライクから4球目のストレートで二併に打ち取ったのは見事だった。
チームトップの10勝を挙げた美馬学、チームトップの133回1/3を投げた石川歩が先発の“軸”として投げたことが大きかったが、西野勇士、種市篤暉が故障で離脱したなかで、小島が大きな故障や不調もなく1年間投げ抜いたことも大きかった。プロ3年目となる来季は、先発ローテーションを守るだけでなく、今季達成できなかった規定投球回到達、2桁勝利を達成して欲しいところ。そうすれば、リーグ優勝もグッと近く。
▼吉田正尚との対戦成績
6月24日:投ゴロ、一ゴロ、二ゴロ
8月5日:四球、二ゴロ、一ゴロ
10月7日:三直、左飛、二併
文=岩下雄太
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※お詫びと訂正(2020年12月10日21時20分)
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初出時、小島投手の左打者の被打率に誤りがございました。
関係者・読者の皆さまにお詫び申し上げるとともに訂正いたします。
大変申し訳ございません。