ブルペンの柱からクローザーへ
DeNAの守護神として2020年のチームを支えた三嶋一輝投手が15日、契約更改交渉に臨み、1億1000万円(推定)でサインした。
今シーズンもブルペンを支える中継ぎとしてシーズンインした三嶋だったが、小さな大魔神こと山﨑康晃の不振により、7月29日のジャイアンツ戦からゲームを締めるポジションに配置転換。クローザーを任されてからは33試合に登板して3勝0敗18セーブをマークし、失点は僅か「6」と安定した成績を残した。
球団代表からは「今年はお前に救われた。ありがとうと言っていただき、すごく嬉しかった」と笑顔。シーズン途中から“クローザー”を任されたことについては、「これはチャンスだと思って、やるからには全うしたい気持ちで1試合1試合投げさせてもらった」と振り返り、「今年は自粛もあり調整も難しく、ケガ人も特に多かった。その中で1年しっかりと戦えたことは誇り」と自己評価した。
今年は、これまでのストレートとスライダーの“ツーピッチ”から、フォークやカーブも織り交ぜるスタイルにマイナーチェンジ。「一昨年、去年と安定した成績とは言えなかったので、色々変えてみようと、普段使わなかった球種もどんどん使った」といい、「今まででは熱くなってただ力任せに投げることが多かったが、配球も自分で考えて投げることができた」とコメント。テクニカル面とメンタル面の変化が成功の秘訣になったことを明かした。
再び白紙からのスタートへ
「三浦さんも白紙だとおっしゃっていた」との発言を踏まえ、「ポジションが確立されてキャンプに臨んだことは、今までのプロ生活で一度たりともない。キャンプ初日から元気な姿、いいコンディションで成長した姿を見せられるようにしたい」と、自らのブラッシュアップを図る。具体的には、「身体を大きくするとかではなく、去年よりもいっぱい走って動ける身体をしっかり作って、キャンプ初日には今年が一番(体調がいい)と思えるくらい整える」ことを目標とした。
「今年は4位という悔しい結果だったので、セ・リーグ1位、日本一になって皆で喜びたい気持ちが強くある」と、優勝候補から一転、Bクラスに落ちた悔しさを晴らすべく、「来年は1年を通して今年より良い成績を残し、自分がしっかりと頑張り、チームが優勝することが一番」と、活躍を誓った。
かつて開幕投手を務めたエース候補から、絶不調とどん底も経験。2018年から中継ぎに配置転換され、モップアッパーからセットアッパーへ、そしてクローザーにまで上り詰めた三嶋一輝。三浦大輔イズムを感じさせる17番は、来季もチームのために腕を振る。
取材・文=萩原孝弘(はぎわら・たかひろ)