自己最多の9勝
「(勝ち星の)数ではなくて1年間1度も離脱せずに、しっかりローテーションに回ることができれば、成績がおのずとついてくると思うので、そこを目標にやりたいです」。
春季キャンプ中に今季に向けてこのように目標を語ったロッテの二木康太は、シーズン自己最多の9勝、規定投球回に届かなかったものの、8月以降はしっかりと先発ローテーションを守った。
今季に向けてシーズンオフの自主トレでは「体力強化。シーズン後半になると成績が落ちるので、そうならないようにと思ってやっていました」と1年間戦うための体力づくりに励んだ。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で開幕日が6月19日に変更となった。6月の練習試合では3日の日本ハム戦、9日の中日戦はピリッとしない投球だったが、16日の巨人戦で5回無失点に抑え、シーズンを迎える。
今季初登板となった6月23日のオリックス戦、5回2/3を投げ4失点、続く6月30日の楽天戦は1回1/3を投げ6失点でノックアウト。7月1日に一軍登録を抹消された。
ファームで再調整となった二木は、種市篤暉が故障で離脱後に再昇格を果たし、8月8日のオリックス戦で7回を2失点に抑え今季初勝利をマークした。8月29日のオリックス戦から10月16日の日本ハム戦にかけて自身6連勝。
完封勝利を挙げた9月14日のオリックス戦の3-0の5回二死走者なしで、T-岡田に対し、捕手・江村直也からのサインに2度首を振って、インコースのストレートで見逃し三振に仕留めたストレートは素晴らしかった。9月6日のソフトバンク戦、0-0の初回二死走者なしで柳田悠岐に対し、3ボール2ストライクから空振り三振に仕留めた7球目の低めのフォークも素晴らしいボールだった。
ストレートの被打率
再昇格してからはストレートとフォークが良く、被打率を見てもストレートが.217(157-34)、フォークが.194(98-19)と抑えている。シーズン通して見てもストレートの被打率.227(172-39)、フォークの被打率が.202(109-22)、昨季はストレートの被打率が.278(241-67)、フォークの被打率が.225(169-38)と、昨季に比べて大きく向上した。
ただ昨季も前半戦はストレートに威力があり、フォークも落差があったが、後半は「まっすぐが、簡単に弾き返された」と力強いストレートをシーズン通して投げることができなかった。
特にここ数年二木は“力強いストレート”を求めて、試行錯誤してきた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で取材に制限があり直接本人に確認はできていないが、強いストレートを投げることができたことで、シーズン序盤に二軍落ちはあったものの、課題にしていたシーズン後半も安定した投球を披露することができたのではないだろうかーー。
夏場以降の働きは素晴らしかったが、1年間先発ローテーションを守るという目標は叶わなかった。来季は先発ローテーションを守り、17年以来の規定投球回到達、自身初の二桁勝利を手にしたい。
▼ 二木康太
今季成績:15試 9勝3敗 振79 四12 防3.40
開幕直後: 2試 0勝1敗 振 6 四 2 防12.86
再昇格後:13試 9勝2敗 振73 四10 防2.63
文=岩下雄太