ニュース 2020.12.16. 17:21

200人の球児が受診した奈良スポーツ検診


「野球肘検診」の重要性




肘の超音波エコー診断は、主として小中学校の野球少年に特有の「肘関節の障害=野球肘」を発見するために実施される。

野球肘には、「内側型」と「外側型」がある。「内側型」は、内側靱帯・筋腱付着部の傷害や尺骨神経の麻痺などだ。ほとんどの場合、経過は良好で十分に注意をしていればプレーしながらの治療も可能だ。これに対して小中学校ではOCD(離断性骨軟骨炎)が中心となる「外側型」は、投球によって肘の外側の骨軟骨が損傷したり剥がれたりする障害だ。初期であればノースロー期間を設ければ治癒できるが、手術をしたうえで長期的なリハビリが必要になる。中にはこのまま野球を断念せざるを得ない場合もある。
「野球肘検診」をすると「内側型」の障害のほうが多く見つかる。「外側型」のOCDの方が少ないが、OCDは放置すれば深刻な事態につながりかねない。端的に言えば「野球肘検診」は「OCDを見つけるため」に実施しているという側面がある。

OCDの初期の段階では、本人に自覚症状がない場合も多い。エコー検査を受けて初めて初期のOCDが見つかることも多い。初期であれば一定期間の投球動作の禁止と適切なリハビリテーションで野球に復帰することができる。しかし、本人が患部の痛みを訴えるような中期以降になれば、治療はさらに長期化し、手術などの可能性も高まる。整形外科には、こうした段階になって来院するケースが多い。OCDは早期発見が一番重要なのだ。



開催できた意義は大きい


「例年、100人ほどの医師、理学療法士が検診にあたっていますが、今年は40人にご協力いただきました。はじめのころは完全にボランティアでしたが、今は奈良県スポーツ協会の委託事業になったのでささやかながら謝礼が出せるようになりました。
また企業のスポンサードもお願いしているのですが、今年2月に協賛してくださった企業がすべて11月にスライドしてもそのままついていただいたので、助かりました。
新型コロナ禍でも、こういう形でスポーツを愛する少年たちの健康を守る活動が維持できた意義は大きいと思います」(取材・文/写真:濱岡章文)

< 1 2

ポスト シェア 送る

もっと読む

連載・コラム
カラダづくり
練習
お役立ち
チーム紹介
TOPICS