「考えが甘い」と自身を律する言葉も
DeNAのエースとして2年連続の開幕投手も務めた今永昇太投手が17日、契約更改交渉に臨み「3600万円ダウンのちょうど1億円」で契約を更改した。
今季は開幕から8月15日まで9試合に登板して5勝3敗、防御率3.23とローテーションの中心として機能していたが、左肩痛を発症し離脱したシーズンに「僕自身、今年1年は何もしていないと同じ。1億を超える年俸を貰いながら離脱してしまった」と自身を責めた。
しかし球団からは、「何もしていない訳ではなく、離脱前は若い子を中心に引っ張っていってくれた」との評価を受けたことを明かし、「大台を切らずに残してくれた。球団の配慮を汲み取ってやりたい」と感謝した。
今季に関しては、「昨年大きな評価をいただいて、おそらく心の中で野球を職にするとの考えがまあまあになってしまった。もの凄く考えが甘いなと感じました」と振り返り、「自主トレでキャッチボールしか出来ないとき、ずっと遠投をしていた。肩を鈍らせたくないと、ピッチングフォームを意識した遠投ではなく、ただ強い強度で投げていた。フォームだったり、身体を意識したキャッチボールをすべきだった。また、出力を上げるプランニングをして、球速のアベレージは上がっていたが、それに耐え得る肩や肘のケアやトレーニングを怠ってしまった」と、今永らしく冷静に反省点を分析した。
その結果、開幕前に違和感を感じ、「投げられるけど何かあるなくらいから始まり、だんだん抜けなくなっていって、それから痛みに変わり、それが取れなくなって続いていった」と、10月5日に肩の手術を決行するまでの経緯を説明。痛みは18年にも痛めた場所と同じで、「肩の関節の中ではなく、外の小さな骨の角がなくなるように削る」処置なので、「手術直後から肩を上げることもできた。回復も早く、復帰は100%できる確信がある」と言い切った。
現在は、「キャッチボールも許可されているけど、今はなしにして1月からやりたい」とのこと。「2月終盤にはブルペンに入って全力投球を目指す」というプランだが、肘の手術経験者でもある三上からの「プラス1年くらいは気持ち悪さがある。急ぐと良くない」とのアドバイスも頭に入れ、「長い目で見てやりたい。復帰する日は設定せずにやれることをクリアしていく」と、完全体になるまでじっくりとリハビリに取り組む構えだ。
来年から選手会長も任される今永は、「復帰した時にはチームを引っ張っていけるように」と、いまは焦らずに力を蓄える。5年、10年と“エース”の座に君臨し続けるために。
取材・文=萩原孝弘(はぎわら・たかひろ)