救援防御率3.88→3.46へ良化
自慢の攻撃力が鳴りを潜め、リーグ3連覇を逃した2020年の西武。終盤はロッテとのクライマックスシリーズ争いにも敗れ、58勝58敗4分けの3位でシーズンを終えた。今回は若手選手にフォーカスし、2020年の西武を振り返る。
近年は毎年のように主力が抜け、今季も秋山翔吾のメジャー移籍があった中で「よく3位に食い込んだ」との見方もできるシーズン。Aクラスを確保できた大きな要因は救援陣の踏ん張り。今季の救援防御率は優勝した2019年の3.88から3.46へ良化。無敗(5勝0敗33S)でセーブ王のタイトルを獲得した増田達至に象徴されるように、僅差のゲームを高確率でモノにした。
増田、リード・ギャレットとともに、シーズンを通して勝ちパターンを支えたのが高卒3年目の平良海馬。昨季終盤から頭角を現し、今季は最速160キロの真っ直ぐを軸にセットアッパーに定着。シーズン終盤に20試合連続無失点を記録するなどリーグ最多タイの54試合に登板し、1勝0敗1セーブ33ホールド、防御率1.87のハイパフォーマンスで2020年のパ・リーグ新人王に選ばれた。
社会人出2年目の森脇亮介も飛躍。シーズン序盤はビハインドゲームでの登板が主だったが、好リリーフを重ねブルペンに欠かせない投手へと変貌。接戦での登板が増えてきた8月以降は中継ぎながら白星を量産し、終わって見れば47試合登板で7勝1敗1セーブ、防御率1.35の好成績を残した。
社会人出のドラフト1位・宮川哲は、平良に次ぐチーム2位の49試合に登板。こちらも森脇同様、ビハインド、同点、リード時とさまざまな状況で腕を振り、1年目からチームのAクラス確保に大きく貢献した。
先発防御率は2019年の4.64から今季は4.87に悪化。その中で高卒6年目の髙橋光成が、プロ入り後初めて規定投球回をクリアし8勝8敗、防御率3.74と及第点の成績。大卒2年目の松本航も6勝7敗、防御率4.37ながら、髙橋とともにチーム2位の20試合に先発し年間を通してローテーションを守った。シーズン終盤には社会人出のドラフト2位・浜屋将太が台頭。救援時の大量失点が響き防御率は4.97だったが、プロ初勝利含む3勝(3敗)を挙げるなど先発としての適性を示した。
残念な成績に終わったのが高卒4年目の今井達也。昨シーズン自己最多の7勝を挙げ新エースとして期待されたが、今季は計61回2/3で57四死球を与えるなど制球に苦しみ、19試合の登板(11先発)で3勝4敗、防御率6.13と苦戦。ただ、まだ4年目を終えたばかり。この経験を飛躍の糧としたい。
ドラ5捕手・柘植が存在感、ポスト秋山選びは来季へ持ち越し
打撃陣は主力の山川穂高、外崎修汰、森友哉が軒並み低調。チーム打率は2019年の.265から今季は.238へ悪化し、1試合の平均得点も2019年の5.29から今季は3.99に大幅ダウンした。
秋山に代わるリードオフマン選びも難航。外野のレギュラー争いも含め、大卒5年目で野手転向2年目の川越誠司、高卒5年目の愛斗、高卒4年目の鈴木将平、高卒3年目の高木渉らが入れ替わる形でチャンスを与えられたが、それぞれ持ち味は見せたものの一軍定着には至らなかった。内野陣も社会人出2年目の山野辺翔は53試合の出場で打率.233、高卒6年目の山田遥楓は8試合出場で打率.200。若手野手は総じて物足りない結果に終わった。
Honda鈴鹿からドラフト5位で加わった捕手の柘植世那は、17試合で2本塁打を放つなど非凡なパンチ力を披露。守っては12試合でスタメンマスクを被り、9月16日のロッテ戦(メットライフ)では同期入団のドラ2・浜屋をプロ初勝利に導くなど、1年目から攻守両面で存在感を示した。
連覇した過去2年は打高投低のチームバランスだったが、攻撃陣が低調だった今季は、それをカバーするように若手投手が台頭。“山賊予備軍”も多くの野手が一軍最多出場を記録しただけに、今季の経験を今後の成長につなげたいところだ。