ファンの存在の大きさを痛感したシーズン
DeNAの山﨑康晃投手が22日、契約更改交渉に臨み、今季の推定3億5000万円からの大幅ダウンでサインした。
入団以来、ハマの守護神としてだけでなく、侍ジャパンの守護神としても躍動してきた山﨑にとって、2020年は非常に悔しいシーズンとなった。
イレギュラーなスケジュールやレギュレーションの中、「コンディショニングは非常に難しかった」と振り返った今季は、開幕から不調が続き、7月下旬にはクローザーの座を三嶋一輝に取って代わられた。2年連続の最多セーブ投手にも輝いた守護神だったが、10月には初の二軍落ちの憂き目にも遭った。
「僕自身悔しい気持ちでいっぱい」とヤスアキスマイルも少なめな会見で、「イレギュラーな開幕でしたし、シーズンを通して苦しい1年だった。ファンあってのプロ野球だなと改めて思った。やっぱり“ヤスアキジャンプ”が僕自身のモチベーションにも、パフォーマンスにも非常に影響する部分も大きかった」と、ファンの存在の大きさを強調。「来季は満員のお客さまの前で“ヤスアキジャンプ”で迎えてもらって、試合に頑張っていきたい」と、コロナの早期終息を願った。
来季へ自信ものぞかせる
さらに、「オフは短いですし、2月にはキャンプも控えている。終盤には離脱もしていますし、しっかり1年間活躍できるようにしたい」と来季を睨み、「まずはリフレッシュして、心身を一回リセットして、来季に結び付けられるように、健康第一でしっかり準備して、開幕に向けて頑張っていきたい」と前を向いた。
来年はオリンピックイヤーでもあるが、「まずはベイスターズのユニフォームを着て活躍し、その上で(侍ジャパンに)選んでいただけるように」と、日の丸を背負ってのプレーにも意欲。昨年の更改時にメジャー挑戦を掲げたが、今も「強くありますね。今後の野球人生を懸けてどのように進んでいっても、自分のプレースタイル、ファンの皆さまを大切にする姿勢を忘れずに頑張って行きたい」と長年の夢にも言及した。
自身の不振に関しては「言っているのは皆さん。皆さんが思っているほど深刻ではない」とキッパリ。クローザー奪回については「言及する必要はない」としながら、「しっかり練習して、しっかり健康な状態でシーズン迎えられれば、僕のパフォーマンスは必然的にできてくる。発揮する自信はあります」と、力強く言い切った。
プロ入り後、順調にステップアップを続けてきた「小さな大魔神」が、初めての躓きを糧に、さらに大きな存在となるべく、心身を整えて来季の開幕を迎えるつもりだ。
取材・文=萩原孝弘(はぎわら・たかひろ)