高卒4年目の変則左腕・大江は一軍で43登板
日本シリーズでは再びソフトバンクに悪夢の4連敗を喫したものの、22の貯金を積み上げセ・リーグ連覇を果たした巨人。今回は若手選手の活躍にフォーカスし、2020年の巨人を改めて振り返る。
働き盛りの中堅やベテラン勢に、若手の力がマッチした今季の巨人。投手陣では期待されていた高卒2年目・戸郷翔征がしっかりと先発ローテーションに定着。惜しくも新人王には届かなかったものの、9勝6敗、防御率2.76の好成績でセ・リーグの新人特別賞を受賞した。大卒4年目の畠世周は、好不調の波があったものの12試合に先発し4勝4敗、防御率2.88を記録。来季はコンディションを整えシーズンを通してローテーションを守りたい。
リリーフでは高卒4年目の変則左腕・大江竜聖がブレイク。チーム3位の43試合に登板し3勝0敗9ホールド、防御率3.11を記録し、日本シリーズでも2試合連続無失点と存在感を示した。大卒4年目の中川皓太はシーズン終盤に左脇腹痛で一時離脱したものの、今季もセットアッパーとしてフル回転。37試合の登板で2勝1敗6セーブ15ホールドをマークし、防御率は1.00と抜群の安定感を誇った。
シーズン終盤には高卒2年目の横川凱が鮮烈な一軍デビューを飾り、ファームでは同じく左腕の高卒1年目・井上温大が快投を連発。桜井俊貴や鍬原拓也ら、近年のドラフト1位で獲得した投手たちの伸び悩みは気になるところだが、全体で見ると若手投手の飛躍が目立つシーズンだった。
捕手・大城、二塁・吉川尚、右翼・松原がレギュラーに
野手では高卒6年目の岡本和真が、自身初タイトルとなる本塁打王(31本)と打点王(97打点)をダブルで獲得。貫禄が増した和製大砲は、これで2018年から3年連続で30本塁打&90打点超えを達成した。
入団以降、腰痛などの故障離脱を繰り返してきた吉川尚輝は、大卒4年目にして初の規定打席到達。主に「1番・二塁」を務め打率.274、8本塁打、32打点、11盗塁、OPS(出塁率+長打率).734をマーク。長年チームのウイークポイントだった“正二塁手不在”にようやく目処が立った。
後半戦以降、吉川尚と多くの試合で1、2番を組んだのが育成出身の大卒4年目・松原聖弥。8月以降は不動の右翼手として86試合に出場し、打率.263、3本塁打、19打点、12盗塁、OPS.701を記録。飛躍のシーズンを送った。
正捕手として君臨した社会人出3年目の大城卓三は、93試合に出場し、いずれもキャリア最高となる打率.270、9本塁打、41打点、OPS.751をマーク。盗塁阻止率もリーグ3位の.340を記録するなど攻守両面でスケールアップした。
今季の巨人は若手の台頭が充実していたように映るが、球団は今オフ、DeNAからFAとなっていた井納翔一と梶谷隆幸を両獲りした。FA選手の加入が若手にどんな影響を及ぼすのか――。百戦錬磨・原辰徳監督の操縦術に注目が集まる。