長打力不足の中日、二軍でOPS.988の石垣に期待
コロナ禍による異例のシーズンが幕を閉じ、新たな戦いへと期待が膨らむ2021年。新シーズンが始まる前に各球団のチーム状況を探りながら、活躍が期待される若手を球団ごとにピックアップ。今回はセ・リーグ編。
●巨人:横川凱(投手/高卒3年目)
日本シリーズではソフトバンクに再び4連敗を喫したものの、2年連続でセ・リーグを制した巨人。岡本和真が不動の4番打者に成長し、昨季は高卒2年目だった戸郷翔征がチーム2位の9勝を挙げるなど、近年は投打ともに若手の台頭が目立つ。
2021年、新たに期待したいのが身長190センチの大型左腕・横川凱。2年目だった昨季はシーズン終盤に一軍デビューを果たし、初勝利こそつかめなかったものの2試合の登板で防御率1.59を記録した。シーズン終盤にインパクトを残す様は、2019年の優勝決定戦で一軍デビューを果たした同期入団の戸郷と被る。今季はキャンプ、オープン戦から結果を残し、戸郷に続く大ブレイクといきたい。
●阪神:小幡竜平(内野手/高卒3年目)
大山悠輔と近本光司が中心選手へと成長し、正捕手の梅野隆太郎、正二塁手の糸原健斗と、チームの骨格となるセンターラインが固まりつつある阪神。あとは鳥谷敬(現ロッテ)の退団以降、固定できていない正遊撃手。そこで楽しみなのが高卒3年目を迎える小幡竜平だ。
2年目の昨季は一軍で54試合に出場し、打撃では打率.220、主に二塁と遊撃を守った守備ではチームワーストの9失策と攻守ともに苦戦した。それでも、打席では粘り強さを見せ、身体能力を生かした守備範囲の広さは出色。まだまだ細身だが184センチと上背があり、今後の成長が楽しみな大型内野手だ。
●中日:石垣雅海(内野手/高卒5年目)
昨季は盤石の必勝リレーを築き上げ、8年ぶりのAクラス(3位)入りを果たした中日。しかし、打撃陣は長打率、出塁率、得点数がいずれもリーグワーストと、得点効率の悪さは改善されていない。
3年目の根尾昂、2年目の石川昂弥らとともに期待したいのが、5年目を迎える石垣雅海。昨季はウエスタン・リーグで打率.372、5本塁打、21打点、OPS(出塁率.419+長打率.569).988を記録し、シーズン終盤には一軍初アーチも放った。今季は売りである長打力を一軍の舞台で発揮したい。
広島・田中法は昨季の二軍セーブ王
●DeNA:伊勢大夢(投手/大卒2年目)
昨季はリーグ4位に終わり、5シーズンに渡るラミレス体制が幕を閉じたDeNA。オフにはFA権を行使した井納翔一と梶谷隆幸が揃って巨人へ移籍。三浦新体制は厳しい船出になると予想されているが、昨シーズン覚醒した佐野恵太のように、ブレイクの予感漂う若手は多く存在する。
その筆頭が2年目の伊勢大夢。ルーキーイヤーの昨季は一軍で33試合に登板し、3勝1敗4ホールド、防御率1.80の好成績を残した。スリークォーター気味のフォームから力強い真っ直ぐを小気味よく投げ込み、奪三振率は10.03を記録。昨季はショート先発として登板するなど様々な状況でマウンドに上がったが、パットンが退団した今季は新たなセットアッパー候補としてフル回転の活躍が期待される。
●広島:田中法彦(投手/高卒3年目)
佐々岡体制1年目の昨季は、相次ぐ主力の離脱や外国人の不調が響き5位に終わった広島。とりわけ、課題と言われていたブルペン整備は最後まで難航。救援防御率はリーグワーストの4.64に終わった。
ブルペン強化に加わりそうな若手が3年目を迎える田中法彦だ。昨季はウエスタン・リーグで25試合に登板し、1勝1敗12セーブ、防御率1.73を記録。同リーグのセーブ王に輝き、10月には一軍デビューも果たした。身長173センチと上背はないが、どっしりとしたフォームから力強いボールを投げ込む力投派右腕。今季は一軍で結果を積み重ね、覇権奪還の一翼を担いたい。
●ヤクルト:奥川恭伸(投手/高卒2年目)
2年連続最下位と低迷するヤクルト。高津新体制となった昨季もチーム防御率はリーグワーストの4.61と苦しみ、特に先発防御率は4.83と、改めて試合を作れるスターター不足が浮き彫りになった。
新たな先発ローテ候補として期待したいのが2019年のドラフト1位・奥川恭伸。ルーキーイヤーの昨年は右肘に炎症で出遅れたものの、イースタン・リーグで7試合に登板し防御率1.83を記録。一軍デビュー戦では打ち込まれ黒星スタートとなったが、2年目は一軍を主戦場とし、投手陣の救世主になってほしいところだ。