◆ 万全期して昨年末に来日済み
オリックスの張奕投手が14日、大阪市内の球団施設で自主トレをスタートさせた。母国の台湾から再来日し、2週間の自宅隔離が明けた直後のスタートと意気込みを見せたが、春季キャンプで故障し出遅れた昨季の反省から、「肩やひじの状態を見ながら仕上げていきたい」と、はやる気持ちを抑え、スロー調整で臨む。
チームでは新型コロナウイルスの影響を考慮し、1月3日にスティーブ・モヤ選手が再来日し、今季にかける意気込みを示していたが、張奕はそれを上回る昨年12月30日に入国していた。「早めに帰らないと練習が出来ない。昨日で隔離期間が終わり、やっと来ることができた」とコロナ禍から解放され“練習解禁”を待ち焦がれていた。
2017年に外野手として育成1位で入団。球筋や球威を見込まれ、18年途中で投手に転向した。2019年は2勝(4敗)を挙げ、台湾代表としてWBC、プレミア12に出場。先発投手の「ベストナイン」に選出され、「最優秀防御率」、「最高勝率」の三冠を獲得した。
「10勝を挙げる」と臨んだ20年シーズンだったが、春のキャンプ中盤で右ひじを痛め、戦列復帰は8月中旬と大きく出遅れた。2勝(4敗)に終わったが、シーズン終盤では救援も経験し、中嶋聡監督ら首脳陣の期待は大きい。
昨年末の契約更改では「先発、救援のどちらでもいけるように準備してほしいと言われたので、そのように調整したい」と話していた。しかし、「球団からは、ケガなく開幕を迎えてほしいと言われている。今でも体力的には大丈夫だが、このまま(のペースで)投げたら昨年のようにけがをする」と、冷静に自らを見詰めセーブすることも学んだ。
予定ではブルペンで捕手が座った状態で投げ込むのは、約2週間後でキャンプイン直前になるが、「焦ってけがをするのが一番嫌」と張奕。シーズンを通してチームの勝利に貢献するためにも、じっくりと調整し5年目のシーズンに備える。
文・写真=北野正樹(きたの・まさき)