どうなる?田中の去就問題

◆ パドレスがまた動く…?

 ヤンキースからFAとなり、その去就に大きな注目が集まっている田中将大。ここに来てメジャーデビューから7年間プレーした古巣との再契約の線が薄くなってきており、今季は新天地でプレーする可能性が高まっている。

 そんな田中の移籍先として名前が挙がっているのがパドレスだ。今オフは特に積極的な動きを見せており、昨年末にはダルビッシュ有をトレードで獲得。もし田中の加入も実現すると、2人の日本人投手が同じチームでローテーションを担うことになる。

 日本のファンにとってはまさに“夢の競演”──。これまで日米球界でライバルとして投げ合ってきた2人の「黄金タッグ」は実現するのか、引き続き目が離せない状況が続きそうだ。

◆ はじまりは1998年

 過去にも、複数の日本人投手が同じチームでローテーションを形成したことは何度かあった。

 例えば1998年のメッツ。この年は野茂英雄と吉井理人が2人合わせて46試合に登板し、2ケタ・10勝を挙げた。

 吉井は渡米1年目のシーズンで、野茂が6月にドジャースからメッツに移籍したことで共闘が実現。ちなみに、この2人は1990年から94年に近鉄でもチームメートという間柄だった。

 それから3年後の2001年には、レッドソックスで野茂と大家友和が合わせて45試合に登板。野茂が13勝、大家は2勝を挙げている。

 ところが、大家は同年の夏にトレードでエクスポズに放出されてしまい、野茂とのコンビは解散に。しかし、移籍先のエクスポズには吉井と伊良部秀輝がいたため、なんと3人の日本人先発投手が在籍することになった。

 ただし、吉井は先発とロングリリーフを掛け持ちしており、伊良部も3試合に登板しただけ。3人が同じ時期にローテーションを担うということはなかった。

◆ 揃って2ケタ勝利を記録した「黒田×田中」

 2003年には、ドジャースで野茂・石井一久・木田優夫の3人が合わせて63試合に登板。25勝を記録している。

 木田は登板した3試合のうち、先発したのは2試合だけだったが、そのうちの1試合が閉幕間際の9月27日。前日の26日には石井が、2日前の25日には野茂が先発しており、同一チームの日本人投手が3日連続で先発登板を果たした。

 日本人の先発投手がそろって2ケタ勝利を挙げたのは、過去に1度だけ。2014年ヤンキースでチームメートだった田中将大と黒田博樹だ。

 田中は渡米1年目で、黒田はヤンキースで3年目を迎えたシーズン。2人は開幕からローテーションを形成。田中はシーズン途中の故障もあって20試合の登板に終わったが、黒田の11勝を上回る13勝を挙げた。

 記憶に新しいところでは、2017年のドジャースも。メジャー2年目で13勝を挙げた前田健太と、シーズン途中にレンジャーズから移籍したダルビッシュ有が共闘した。

 ポストシーズンでは前田がリリーフに回る形となり、ダルビッシュは4試合に先発。2勝を記録している。

 野茂がメジャーへの扉を開いてから、すでに四半世紀が経過。その後は多くの日本人先発投手がメジャーの舞台で存在感を発揮してきた。果たして、田中とダルビッシュの黄金タッグは実現するだろうか…。

文=八木遊(やぎ・ゆう)

【八木遊・プロフィール】
1976年、和歌山県出身。大学卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。日本にファンタジーベースボールを流行らせたいという構想を持ち続けている。

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八木遊

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