自主トレでフォーム改造に着手
3年目を迎えたDeNAの大型内野手・伊藤裕季也選手が19日、今年初となるDOCKでの練習後、ZOOMでの取材に応じた。
伊藤は今年、1月5日からの12日間に渡って同級生でもある楽天・辰巳涼介の誘いを受け、愛媛で自主トレを敢行。辰巳のトレーニングをコーチングしていた小山光久氏も帯同し、「身体の構造上、力の出やすさ」などの指導を仰ぎ、フォームの改造にも着手した。
「バットの軌道、体重移動、手の感覚や両手の動き方」を解析し、「今までになかった感覚」を手に入れたという。「バットを下に落とすような感覚で、横に回旋する動きと合わせる」新フォームにより、「コンパクトさはなくさずに、助走を付けるように後ろを大きく振ることで飛距離が変わった」と成果を実感したようだ。
昨季は「フリーバッティングでも飛距離が出ずに、柵越の数がすごく少なかった。越えてもギリギリだった」と苦しんだ。ファームではトップの出場機会(70試合・230打席)を与えられるも、7本塁打に終わったシーズンを振り返ったが、今年は「バッティングを外でやった時、ライナー性の打球で余裕でスタンドに入った。身体の感覚もしっくりきているし、今年はこれを固めていきたい」と去年との違いに自信を見せた。
ライバル・牧の存在
ルーキーイヤーの2019年は14試合に出場し、打率.288、ホームラン4本、OPS.929と上々の数字を残し、2年目の飛躍が期待された昨年だったが、出場は僅か5試合と、ほぼファームで過ごすシーズンに。しかも今年のドラフトでは中央大の牧秀悟を獲得した。
牧は大学日本代表の4番を務めたほどの実力者であり、右のスラッガータイプ。守備位置もセカンドと完全に被ることもあり、「同じようなタイプを指名するということが、僕に対しての評価。このままではどんどん抜かれていくし、チャンスも減っていく」と危機感を募らせる。「刺激になりますし、負けられない強い気持ちが自分の中で出てきた」と、ライバルへの対抗心も口にした。
キャンプでは「自主トレの期間で取り組んできたバッティング」にこだわり、「自分の持ち味を解明する。持ち味で他の選手に負けては試合に出られない」と、ストロングポイントで勝負をかける。ライバルが多く二塁手のポジション争いは熾烈を極めルコとが予想されるものの、「確実にセカンドのレギュラーを取りたい」と宣言した伊藤裕季也が、豪快なバッティングを武器に3年目の戦いに挑む。
取材・文=萩原孝弘(はぎわら・たかひろ)