「キャンプなしにシーズン開催とはいかない」
日本野球機構(NPB)とJリーグが設立した「新型コロナウイルス対策連絡会議」の第24回が25日、Web会議システムにて実施。会議後に行われた会見には、NPBの斉藤惇コミッショナーとJリーグの村井満チェアマン、専門家チームが出席し、会議では春季キャンプに対する意見交換を中心に協議が進められたことを明かした。
斉藤コミッショナーは「緊急事態宣言の発令中に数百人単位の人を動かすという大変なことを行いますので、緊張感を持って事に当たろうと思っております」と、キャンプ地となる自治体とのコミュニケーションも取りながら2月1日から始まる春季キャンプに臨む姿勢を示した。
専門家チームの愛知医大・三鴨廣繁教授は「キャンプのマニュアルを既に作られているので、これを遵守していただくということで飛沫予防策、接触予防策は取れるのではないか」と、NPBが1月20日に発表した『感染予防ガイドライン』に言及。感染者の6割が無症状者という研究結果もあるが、東邦大の舘田一博教授は「スタッフも含めて一週間に一回検査をする。大変ですけど検査をしていくことで、無症状者もできるだけ早く見つけて、そしてご迷惑にならないようにやっていくということになる」とキャンプ中の検査実施の必要性について話した。
新型コロナウイルス感染拡大のなか開催される春季キャンプの“必要性”について、斉藤コミッショナーは3月26日のシーズン開幕を見据えた上で、「これ無しにいきなり3月下旬からプロ野球を開催しますということにはいかない」と、選手にとって必要な準備期間であることを強調。「もちろん地元の理解なしにこちらから一方的にやりますと言うわけにはいかないので、宮崎、沖縄、高知からぜひ来ていただきたいという要望もあってやります」と説明した。
ワクチン接種は「開幕後」今後も議論
昨季はプロ野球界でも同一球団から複数の陽性者が確認されるケースがあったが、キャンプ期間中に万が一クラスターが発生した場合について、三鴨教授は「その対応を考えるために我々(専門家チーム)が存在していると思っている。おそらくプロ野球もJリーグも我々に相談していただけると思っている。より良い判断をしていきたい」とコメント。
斉藤コミッショナーも「定量的なルールを作るのは難しいと思う」と語り、「クラスター的な現象が発生したときに考えなきゃいけない。先生方に相談するのとともに地元の医療機関との判断によって中断するかどうかというのは決めざるを得ないんだろうと思っています。(中断の可能性も)十分頭に入れたうえで準備していこうと思っております」と、昨季同様にケースバイケースであらゆる事象に対応する姿勢を示した。
なお、球界における新型コロナウイルス感染症のワクチン接種については、専門家チームがこの日の議題に上がったことを明かし、一定数の副反応が出ることを認めた上で、スポーツ界においても有効であることを強調。東北大・賀来満夫氏は「2月後半から医療従事者、高齢の方々、一般の方々。となると、打つのは4月以降のペナントレースが始まってからになる」と言及。シーズン中の摂取ともなれば競技に影響を与える可能性も否定できないことから、今後も議論を交わす必要性を口にした。