屈指の先発ローテーションを形成
打倒巨人に燃える阪神が、このオフシーズンに積極的な補強を行った。野手では、昨シーズンの韓国プロ野球(KBO)で本塁打と打点王の二冠王に輝いたメル・ロハス・ジュニアを獲得。新型コロナウイルスの影響もあり来日のめどは立っていないものの、若き主砲の大山悠輔やサンズと中軸を組むことになりそうだ。
ドラフトではに1位で長距離砲候補の佐藤輝明(近畿大)を指名し、抽選の末に交渉権を獲得。昨シーズンまで福留孝介(現中日)が背負っていた背番号を「8」を与えたことからも、その期待は大きい。
投手陣では、KBOで20勝を挙げたラウル・アルカンタラと昨シーズン終盤からロッテでプレーしていたチェン・ウェインを獲得。すでにチェンは来日しており、開幕ローテーションに入ってくることが確実視されている。
あらためて昨年の先発投手陣を見渡すと、エースの西勇輝、2年連続で規定投球回に到達した青柳晃洋、そして昨シーズン11勝の秋山拓巳に左腕エースの高橋遥人と、リーグ屈指のメンバー。昨季はリーグ2位のチーム防御率を残しており、過去5シーズンを振り返ってもチーム防御率が2位以下になったシーズンはない。そこに実績のある外国人投手ふたりが加わったわけだ。
開幕投手最有力候補の西は、自主トレ期間中のインタビューで「タイトルが狙えるとしたら防御率」とタイトル奪取へ意気込んでいたという。しかし、阪神投手陣の投手タイトル獲得歴を見ると、意外な事実が浮かび上がってくる。
最優秀防御率のタイトルは2003年以来獲得なし
阪神の先発投手陣が獲得した直近の主要タイトルを見ると、最多奪三振は藤浪晋太郎(2015年)、最多勝はメッセンジャー(2014年)、そして最高勝率は久保康友(2010年/当時表彰なし)が手にしている。
しかし、最優秀防御率だけは縁がなく、2003年の井川慶以来17年間も誕生しておらず、12球団でもっともこのタイトルから遠ざかっている球団でもある。ちなみに井川がタイトルを獲得したときも、1983年の福間納以来20年ぶりのことだった。
阪神の歴史を振り返ってみると、1960年代は村山実、バッキー、江夏豊、権藤正利と、12球団最多となる4人が最優秀防御率のタイトルを獲得している。
セ・リーグの6球場では比較的広い甲子園球場を本拠地としており、チーム防御率も前述のとおり5年連続でリーグ2位以上をキープ。チーム防御率に関しては、先発陣以上にリリーフ陣の活躍が目に付く部分もあるが、昨シーズンは西が先発としてリーグ4位の防御率2.26をマークしている。年を追うごとに安定感を増しており、井川以来となる最優秀防御率のタイトル獲得にも期待がかかる。
【阪神の最優秀防御率獲得者】
2003年:井川慶
1983年:福間納
1975年:安仁屋宗八
1970年:村山実
1969年:江夏豊
1967年:権藤正利
1964年:バッキー
1962年:村山実
1959年:村山実
1956年:渡辺省三
1952年:梶岡忠義
※2リーグ制以降
※2020年シーズン終了時点