キャンプ初日を終えて
「改めてプロ野球選手になったという実感がわいて、気持ち的にも高ぶった感じで、初日の朝を迎えられました」。
2月1日、プロ野球は沖縄、宮崎などで12球団一斉にキャンプイン。ロッテのドラフト3位ルーキーの小川龍成(國學院大)も、プロ野球選手としての第一歩を踏み出した。
背番号“57”のユニホームを着ての初めての練習。「周りがすごい選手ばかりなので、自分も負けないようにという気持ちがありました。精神的にも肉体的にも疲れた部分があったんですけど、緊張感があったなかでできたかなと思います」と初日の練習を振り返った。
打撃、走塁、守備などの練習を先輩たちと行うなかで、「自分は何もわからない状況だったのですが、プレーしやすいように、声をかけてくださった。すごい気を遣っていただいて、やりやすい環境でプレーできたかなと思います」と先輩たちの配慮に感謝した。
握り替えに注目せよ!
小川の最大の魅力のひとつが「一番自信があるのは守備です」と話すショートの守備。
守備を見ていると、打球に対しての1歩目のスタートがはやく、ボールを捕球してから握り替えるまでのスピードもはやい。
「日頃のキャッチボールのときから自分の最速に近い握り替えというか、キャッチボールは少しミスしてもいいくらいで、なるべくはやく握り替えるように意識しています」。
「高校時代も当時の監督さんであったり、コーチの方にそういう風にやるように言われていましたが、大学になってその意識がより強くなりました。大学時代に握り替えは向上できたかなと思います」。
学生時代からボールの握り替えのはやさを“意識”して取り組み、反復練習して掴んだ技術だ。
今季からマリーンズの一軍野手総合兼内野守備コーチに就任した森脇浩司コーチからは守備について「下半身の重要性という部分で、股関節の柔軟性、強さというのは守備において大事だと教えてもらいました」とのこと。
「大学時代も股関節まわりであったり、脚の使い方はコーチからすごく言われていたので、そこに繋がる部分が多かったです。理解しやすくできたと思います」。
大学時代で学んだことに、新たに森脇コーチから教わることを取り入れ、プロ仕様の守備に仕上げていく。
守備面で気になることといえば、プロの打球のスピードか。キャンプ初日を終えた段階ではあるが、小川は「ノックを受けながらですが、何球か(打撃練習のボールを)さばいたり、打球を見ていたんですけど、打球に力強さ、スピードがあるので、大学生と比べてプロはすごく打球が強いなと思いました」と話しており、これから練習や実戦を重ねて対応していく必要がありそうだ。
課題の打撃
プロの世界で活躍するためには、打撃力がなによりもカギを握る。
ショートのレギュラー争いを制するために必要なことについて小川本人も、打撃力の向上を挙げた。「バッティングに課題がある。プロのレベルになるとスピードであったり、打球の速さが一段上がると思う。まずはプロのレベルにしっかり慣れることが大事だと思います」と自己分析する。
プロでプレーするにあたって、バットの長さは大学時代と変わらずに85センチ、重さは870グラムと880グラムの2本を使っているそうだ。
打撃練習では「とにかく確実性をあげることだと思うので、コースに逆らわずにしっかり芯で捉えてライナーで飛ばすこと」を意識して取り組んでいる。
一軍のキャンプでは河野亮打撃コーチ以外に、石垣島春季キャンプで “平成唯一”の三冠王・松中信彦氏が臨時でコーチを務めている。同じ左打者の松中臨時打撃コーチからこの日は、直接教わる機会がなかったとのことだが、2日目以降は「体の使い方でわからない部分があるので、下半身の使い方であったり、ボールにしっかり強さを伝えられるような体の使い方を機会があれば教わりたいと思います」と話した。
小川が主戦場にするショートは藤岡裕大をはじめ、松田進、福田光輝、茶谷健太と、一軍キャンプに内野手8人中5人がショートを本職にする選手。さらに、メジャー通算922試合に出場した新外国人のエチェバリアもいる陣容だ。
「技術的にもスタメンで出るくらいのレベルに達していない。しっかりそこは、自分がまだまだ下だと思って練習していきたいです」と話しながらも、「やるからにはスタメンとして出たい。ショートのポジション争いは激しいと思いますが、自分も負けないように1年目からスタメンで出られるように頑張っていきたいと思います」と意欲を燃やす。
3月26日のソフトバンクとの開幕戦で、ショートのポジションでスタメンを勝ち取るため、得意の守備に、打撃、走塁を磨いていく。
取材・文=岩下雄太