力まずに6割、7割の力
「力まずに6割、7割くらいの力でキレのあるまっすぐを投げられるように、今はやっています」。
ロッテの育成ドラフト4位ルーキー・佐藤奨真(専修大)は、春季キャンプのブルペンでこのようなテーマを持って投げている。
気になったのは“6割、7割”という数字。「全力だと力みが入ってしまうので、手を抜くという表現が正しいかはわからないですけど、そういう感覚で投げています」と明かした。
専修大時代も、「力んで投げていて肩とかを痛めることが多かった。そういうところから変えていこうかなと。そこから6割、7割くらいの意識で投げています」と、“6割、7割”の力でキレのあるストレートを投げるようになった。
では試合になると、どうなるのか…。「ちょっと力を入れるんですけど、それは自然に出る力なので、心の中では6割、7割でおさえるようにはしています」と説明した。
平均135キロのストレート
昨年12月に行われた新入団会見で、“プロでどんなところを見せたいか?”という質問に、「そこまで球は速くないんですけど、速くなくても抑えられるところを見て欲しいです」と答えていた。
ストレートの最速は143キロで、大学時代の平均球速は135、6キロ。「1、2年生のときにスピードをあげたくて筋トレとかをたくさんやっていたんですけど、それをやっていたら肩とか肘にも負担がかかり、フォームがバラバラになってしまった」と、ストレートを速くしたい時期はあったという。ただ、「バッターの反応も、打たれるケースが多かった。自分の持ち味はこういうところじゃないのかなと思って、今の形になっています」と現在のピッチングスタイルにたどりついた。
現在の投球スタイルになってからは、ストレートを速く見せるために「バッターのスイングとか間とかを見て、相手の嫌がるタイミングで投げたり、緩急もそうですけど、フォームもいろいろと(打者が)見えにくいような投げ方だったりを追求してやっていました」と打者を打ち取るために、工夫を凝らした。
カットボールが武器
大学時代の映像を見ると、左打者のインコースにストレートと同じような球速で、打者の手元で鋭く変化するカットボールを投げていた。本人はカットボールについて、「練習していて自然とそういう変化になっていったという感じです」と話し、球速も130キロ台前半だという。
投球の割合でいうと「去年だと少しカットボールが少ないのかなという割合ですね」とのこと。「自分のなかではカットボールが安定して投げられる。よく使うボールです」と自信を持っている球種のひとつだ。
また、ブルペンではマリーンズ捕手陣からカーブが良いと評価されているそうで、「そこをもっと磨ければ」とも話す。ちなみに学生時代はカーブとカットボールをよく投げていたそうだ。
目標はもちろん支配下登録
ストレートあっての変化球。プロのトレーニングを積んでストレートの球速が上がるのであれば、それに越したことはない。現時点では「もっとフォームを改良できれば、自然とストレートはあがってくると思うので、そこは頑張っていきたいです」と考えている。
改良しなければいけない部分について「投げているときに、体幹部分に力が入っていないので、しっかり軸を自分で感じられるようになれば、もっといいボールがいくんじゃないかなと考えています」と自己分析した。
当面の目標は支配下選手登録。支配下選手登録されるためには「自分の持ち味を発揮できるようにトレーニングとか、相手バッターとかも全然違うと思うので、早くプロの選手の特徴をつかんでうまく抑えられるようになりたいです」と決意した。
取材・文=岩下雄太