投手の球を受けて
「体格差とかもありますし、体の使い方が上手なので、自分と違って体の疲労が違うと思う。早く体の使い方を覚えて、すべてのプレーを活かしたいなと思いながら先輩たちのプレーを見ています」。
ロッテの育成ドラフト1位・谷川唯人(立正大淞南高)は、勉強の日々を送っている。
捕手ということもあり、ブルペンでは毎日のように投手の球を受ける。プロの投手の球を実際に受けてみて、谷川は「球の勢いは(高校生と)違いますし、1人1人自分の長所をわかって投げられている。それは受けていてもしっかりとわかります。自分は高校から入ってきているので、その変化というのは苦労しています。早くキレ、速さに慣れていかないといけないなと思います」とたくさんの投手の球を受けて、特徴を覚えている段階だ。
南昌輝、二木康太、中村稔弥のボールを受けて、谷川は「パターンが全く違う3人だなと思いました」と明かし、南のボールについては「球種が多くて、その精度が高い。小さく動いて、バッターからしても嫌だなと感じました」と振り返った。「毎日受けた投手は、ノートに取っています。早く特徴を覚えていきたいなと思っています」と、宿舎に戻ってからも投手の特徴や1日の練習を振り返り、谷川の1日はグラウンドだけでは終わらない。
捕手で大切にしていることは
昨年12月に行われた新入団会見では、「持ち味である肩というのをしっかりアピールして頑張っていきたい」と話し、「長所であるディフェンス面を見てもらいたい」とファンに向けてアピールした。
谷川が捕手で大切していることについて、前提として「ミスしないこと」を挙げる。そして、「強肩を見せるというのではなくて、大事な場面でいかに自分がいいプレーに重きを向けられるか。グラウンドで守っている選手たちがプレーしやすい環境を自分が見られる範囲で言っていったり、常に平常心で自分の思いを表に出さないように投手を支えるだけという意識でやっている」とのことだ。
課題は打撃
打撃面に関しては、「同じルーキーの高校生と差がある。打撃でもレベルアップしていかないといけない」と課題に挙げた。
昨年の夏季島根大会の決勝・益田東高戦では、1番打者として出場し、四球で出塁した第2打席以外の全ての打席で、反対方向に打っていた。「点につながるために出塁するとなったら、強いスイングをしかけながら反対にいって、いいところに当たればホームランという感じでやっていました」と話す。
プロとなった現在は「引っ張るというか、引っ張りの方向に強い打球を打てるようになりたいなと思います」と意気込む。
マリーンズの捕手陣は20代後半の選手が多く、育成選手ではあるが、高卒からプロ入りした谷川にかかる期待は大きい。また、谷川が背負う背番号122は、柿沼友哉、和田康士朗が育成選手時代に着けていた番号。「支配下にあがられているので、自分も上がりたいなと。背番号に関係なく、とにかく2桁に向けて頑張りたい」と、先輩たちに続いていくつもりだ。
「元気だけは出していきたい。技術に関しては担当コーチから教わったことを信じて、理屈をわかってしっかりやっていけば結果は出てくると思う。“こうしたい”というよりは、教わったことをひたすらやるだけかなと思います」。その先の支配下選手登録を勝ち取るため、今は必死に学んだことを自分のモノにしていく。
取材・文=岩下雄太