ニュース 2021.02.08. 19:00

ロッテ育成2位・小沼が今も守っている小林宏之氏からの教え

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ロッテの育成・小沼健太[提供=千葉ロッテマリーンズ]

フォークを磨く


 「地元・千葉出身の選手が活躍すれば盛り上がると思うので、そのためにも1年でも早く支配下にあがって、ZOZOマリンスタジアムで投げたいと思っています」。

 ロッテの育成ドラフト2位・小沼健太は、支配下選手登録を目指し、春季キャンプで腕を振っている。

 ブルペンでは“強いボールを投げること”、“変化球の精度”をしっかり意識して投げ込んでいる。捕手陣からはカットボールの評価を高く受けたそうだ。

 小沼は最速151キロのストレートに変化球はスライダー、カットボール、フォークなど、ストレートに近い球速の変化球を投げる。

 「今まではカットボールとスライダーで勝負していったんですけど、NPBに入ってからはフォーク。身長が高いぶん、フォークも武器になると思うので、ブルペンでもフォークを意識して練習しています」。

 武器にしたいと話すフォークについて現状は「バラバラな印象というか、この日は良いけど、この日はあまりよくないという日が多い。キャッチボールからしっかり確認していけたらいいなと思います」と、制球力を向上させる必要があると自己分析。

 この日は、プロ入り後初めて、打撃投手を務めた。「まっすぐでどのくらい通用するか確かめました」と、三木亮、西巻賢二に対し、ストレートを中心に投げ込んだ。

 実際にプロの打者と対戦してみて小沼は「もっと押せると思ったんですけど、初球から反応してくる能力があるというか、いきなりパーンと合わされるので、そこが独立リーグとの違いかなと思いました」と振り返った。


小林宏之氏からの教え


 小沼は東総工高卒業後、「1年でも早くプロへ行ける。NPB出身の指導者、NPB出身の打者と対戦できるところがいいと思いました」と、BCリーグの武蔵でプレーする道を選んだ。当時の武蔵には、マリーンズOBの小林宏之氏が指揮をとっており、そこで様々なことを教わった。そのなかでも、小林氏から教わった“ある教え”を今も大切に守っている。

 その教えとは、「僕は基本的に、三塁側のプレートに足を踏んでいて、(ブルペンでは)右バッターのアウトコース、クロスする軌道から投げ始めていました。そうではなくて、まずは右バッターのインコース、左バッターのアウトコースの高めから順番に投げていくように教わりました。今でも必ず左バッターのアウトコース高めからピッチングするようにしています」とのことだ。このキャンプも右バッターのインコース、左バッターのアウトコース高めから投げ始めているそうだ。

 小沼が小林さんから指導を受けたのは、独立リーグ1年目のとき。当時高卒でBCリーグ・武蔵に入団したときに、群馬が一番強く、初めて対戦した群馬戦で好投したという。

 その試合中に、小沼は「僕自身抑えられると思っていなくて、嬉しくて笑みがこぼれたというか、試合中にベンチで笑顔になった」という。そこで、小林氏から「『お前はもっと上を目指せるんだから、これで満足するな!。いいピッチングだったというのはわかっているけど、笑顔を見せないでもっと反省点を試合中に考えろ!』」と言われた言葉を、今でも印象に残っている。

 マリーンズに育成選手として入団が決まったあとも、「僕が(小林さんにBC)1年目に教わったんですけど、そのあと独立リーグで3年間やっていったのを知っているので、そこでやっと入れたんだから後悔するなというふうに言われました」と言葉をかけてもらったそうだ。


BC茨城で球速アップ


 小沼は武蔵だけでなく、3年目からはBCリーグの茨城に所属。19年までは先発を務めていたが、20年はリリーフに回りコンスタントに150キロを超えるボールが投げられるようになったという。

 「身長が高いですが、なかなか上からいかないということが多くかった。上からしっかり叩くというのを意識した結果、球速がでました」。

 プロの練習で、さらなる球速アップを目指す。「ハードなトレーニングが多い。あとは独立リーグのときは、なかなかジムに行けていなかったんですけど、グラウンドのすぐ隣にジムがあったりとか、自分ですぐにトレーニングができる。もっともっと球速があがると思います」と自信を見せる。

 「食事だったりとかも用意されていますし、あとはジムもトレーニングする場所も道具も独立リーグと違って揃っている。使っていかないともったいない。使ってしっかりトレーニングしていきたいと思います」と、恵まれた環境を活かそうと考えている。

 高校を卒業してから4年で、こじ開けたプロへの道。本当の勝負はここからだ。育成選手での入団であるが、結果を残せば、支配下選手登録、さらには一軍で活躍というのも見えてくる。独立リーグで培った“ハングリー精神”を忘れずに、NPBの舞台で大輪の花を咲かせて欲しい。

取材・文=岩下雄太

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