海外FA権を行使した澤村拓一の米大リーグ・レッドソックスへの移籍が正式に決まった。
守護神・益田直也をはじめ、ハーマン、唐川侑己、小野郁、東條大樹、フローレス、松永昂大と救援陣が充実しているとはいえ、昨年と同じようにリリーフ陣が安定するかどうかはシーズンに入ってみないとわからない部分がある。マリーンズにとって、昨季シーズン最終盤に勝ち試合の8回を担当した澤村の移籍は痛い。昨季は打線が低迷し、1点のリードを守り抜くという戦いで勝利を積み重ねた。先発とともに、救援陣は勝利への大事な“ピース”といってもいい。その重要な“ピース”の1つがポッカリと空いた。
昨季澤村がトレードで加入する前は、7回・唐川、8回・ハーマン、9回・益田という“勝利の方程式”だったことを考えれば、この3人が試合終盤の勝ちパターンに組み込まれていくことになっていくのかーー。昨年はビハインドゲームを中心にシーズン自己最多の40試合に登板した小野、新人時代の13年から7年連続で40試合以上に登板した松永、変則サイドハンドの東條、10月以降ビハインドゲームで抜群の安定感を誇ったフローレスも、勝ちパターンに割って入ってくることができるか楽しみなところ。この先のオープン戦で、開幕直後の勝ちパターンの形が見えてくることだろう。
昨季の成績のみを踏まえると、小野が勝ちパターンに食い込むことができるか注目。楽天へFA移籍した鈴木大地の人的補償で加入した昨季、「来季(2020年)は自分でも勝負の年だと思っているので、1試合でも多く、一軍に帯同し、期待に応えられるようにしっかりやっていきたいと思います」と決意を述べ、その言葉通り、40試合に登板して2勝2敗4ホールド、防御率3.23と“結果”を残した。
特に7月終了時点で14試合・14回2/3を投げて防御率4.91だったが、8月以降は26試合・24回1/3で防御率2.22と安定。与四球の数も7月まで14登板・10与四球だったが、8月以降は26登板・8与四球と大幅に改善。昨年8月以降の投球を開幕から見せてくれたら、十分に勝ち試合を任せることができるのではないだろうか。
また、長年セットアッパーとして、マリーンズの救援陣を支えてきた松永の復活にも期待がかかる。19年までの投球を披露することができれば、それだけでも澤村の穴を埋める存在となる。なんといっても松永は、ワンポイント、イニングの頭からの1イニング、イニングまたいでのリリーフと、どの場面でもきっちりとその役割を果たす。益田、ハーマン、唐川、小野、東條と右のリリーフが多いだけに、左が1枚、それも勝ちパターンを担える投手がいるとなれば起用の幅が広がる。
2019年にイニング別失点で8回が最も多い87失点だったが、リリーフ陣を補強した昨季は8回の失点数が47と減少。8回の失点だけが関係しているわけではないが、勝利に直結する大事なイニングの失点が減少したことも、昨季13年ぶりに2位に入った要因のひとつといえる。近代野球において、試合終盤のリリーフの出来、不出来が非常に重要だ。“澤村”が退団した“8回の男”をしっかりと固定し、1年間戦えるようなシーズンを送りたい。
文=岩下雄太
守護神・益田直也をはじめ、ハーマン、唐川侑己、小野郁、東條大樹、フローレス、松永昂大と救援陣が充実しているとはいえ、昨年と同じようにリリーフ陣が安定するかどうかはシーズンに入ってみないとわからない部分がある。マリーンズにとって、昨季シーズン最終盤に勝ち試合の8回を担当した澤村の移籍は痛い。昨季は打線が低迷し、1点のリードを守り抜くという戦いで勝利を積み重ねた。先発とともに、救援陣は勝利への大事な“ピース”といってもいい。その重要な“ピース”の1つがポッカリと空いた。
昨季澤村がトレードで加入する前は、7回・唐川、8回・ハーマン、9回・益田という“勝利の方程式”だったことを考えれば、この3人が試合終盤の勝ちパターンに組み込まれていくことになっていくのかーー。昨年はビハインドゲームを中心にシーズン自己最多の40試合に登板した小野、新人時代の13年から7年連続で40試合以上に登板した松永、変則サイドハンドの東條、10月以降ビハインドゲームで抜群の安定感を誇ったフローレスも、勝ちパターンに割って入ってくることができるか楽しみなところ。この先のオープン戦で、開幕直後の勝ちパターンの形が見えてくることだろう。
昨季の成績のみを踏まえると、小野が勝ちパターンに食い込むことができるか注目。楽天へFA移籍した鈴木大地の人的補償で加入した昨季、「来季(2020年)は自分でも勝負の年だと思っているので、1試合でも多く、一軍に帯同し、期待に応えられるようにしっかりやっていきたいと思います」と決意を述べ、その言葉通り、40試合に登板して2勝2敗4ホールド、防御率3.23と“結果”を残した。
特に7月終了時点で14試合・14回2/3を投げて防御率4.91だったが、8月以降は26試合・24回1/3で防御率2.22と安定。与四球の数も7月まで14登板・10与四球だったが、8月以降は26登板・8与四球と大幅に改善。昨年8月以降の投球を開幕から見せてくれたら、十分に勝ち試合を任せることができるのではないだろうか。
また、長年セットアッパーとして、マリーンズの救援陣を支えてきた松永の復活にも期待がかかる。19年までの投球を披露することができれば、それだけでも澤村の穴を埋める存在となる。なんといっても松永は、ワンポイント、イニングの頭からの1イニング、イニングまたいでのリリーフと、どの場面でもきっちりとその役割を果たす。益田、ハーマン、唐川、小野、東條と右のリリーフが多いだけに、左が1枚、それも勝ちパターンを担える投手がいるとなれば起用の幅が広がる。
2019年にイニング別失点で8回が最も多い87失点だったが、リリーフ陣を補強した昨季は8回の失点数が47と減少。8回の失点だけが関係しているわけではないが、勝利に直結する大事なイニングの失点が減少したことも、昨季13年ぶりに2位に入った要因のひとつといえる。近代野球において、試合終盤のリリーフの出来、不出来が非常に重要だ。“澤村”が退団した“8回の男”をしっかりと固定し、1年間戦えるようなシーズンを送りたい。
文=岩下雄太