最速は158キロを計測
阪神の藤浪晋太郎投手(26)は5日、PayPayドームで行われているソフトバンクとのオープン戦に2番手として登板。3回から6回までの4イニングスを投げて被安打3、2四球・2奪三振で無失点の好投を見せた。
エース・西勇輝のあとの2番手として、3回頭から登場した9年目の右腕。中村晃に対しては154キロの速球から入り、勝負球は156キロのまっすぐで遊ゴロ。先頭を斬ると、つづく上林誠知は変化球ふたつで追い込み、最後は149キロのフォークで空振り三振。ポンポンとアウトを重ねていく。
二死から4番の長谷川勇也に対しては、この日最速となる158キロを計測。5球続けたまっすぐは、157キロをセンター前に弾き返されるも、藤浪の顔には笑顔が。栗原陵矢には変化球を中心に組み立て、最後はフォークを打たせて一ゴロ。安打を1本許したが、ソフトバンクの強力な左打者たちから3つのアウトを奪った。
2イニングス目は、先頭の三森大貴に初球のストレートを捉えられ、センターに抜けていく安打。いきなり走者を許してしまうと、つづく柳町達にもライトに運ばれ、若手の連打で一・三塁。この試合はじめてのピンチを迎える。
ここで打席には甲斐拓也。この試合はじめての右打者との対戦になったが、7球すべて変化球で三ゴロ。本塁を狙う三塁走者をアウトにし、一死一・二塁となると、川瀬晃には初球の変化球を捕らえられたが、打球は一塁を守るサンズの正面。キャッチで二死、一塁走者の甲斐も戻れず、ラッキーな形で併殺が成立。無死一・三塁の大ピンチも無失点で切り抜けた。
5回は1番からという巡りになったが、先頭の周東佑京を146キロのフォークで空振り三振。一巡して中村は154キロの速球で二ゴロに打ち取り、上林も変化球で三邪飛。この日はじめて三者凡退のイニングを作る。
勢いに乗って挑んだ6回は、釜元豪を中飛に打ち取って一死とするも、栗原に対しては追い込んでから3つ続けてのボール。この試合はじめての四球を与えてしまう。先ほど安打を許した三森との対戦では、ボールを引っかけて暴投。代走で出ていた牧原大成が二塁まで進むと、直後の牽制球が二塁走者に直撃。牧原は負傷交代となってしまった。
少し間を空けて迎えた三森との対戦でも制球に苦しみ、2者つづけての四球。ここ数年苦しめられてきた、制球難絡みの“乱調”に陥ってしまうのか…。暗雲が立ち込める中、一死一・二塁で迎えるは前の打席で安打を打たれている柳町。2ボール・1ストライクから投げ込んだまっすぐは力で勝り、打球は二塁手正面へのゴロ。4-6-3とボールが渡り、ゲッツーでピンチ脱出。どうにか4回を無失点で抑えた。
この日は3回から6回の4イニングスを投げて59球。打者15人に対して被安打は3、与四球が2つ、3奪三振で無失点。頭の3イニングは無四球で進んだように、無走者時のワインドアップで投げられる時間は、安定して力のあるボールを投げ込むことができ、支配的な投球を展開することができていた。
一方で、先頭で走者を背負った場面など、ワインドアップの時間が長くなると、やや不安な面をのぞかせることも。走者が出た場面では変化球が多くなり、打者を仕留めるのに時間を要した印象が残る。
とはいえ、開幕まではあと3週間。この日がオープン戦の初登板。日本一4連覇中のチャンピオンチームを相手に、4イニングを無失点という結果は上々の滑り出しと言えるだろう。
これから開幕までにどれだけギアをあげていくことができるか。完全復活にかける藤浪晋太郎の挑戦から、引き続き目が離せない。
文=尾崎直也
藤浪晋太郎・プロフィール
ポジション:投手
投打:右投右打
生年月日:1994年4月12日(26歳)
身長・体重:197センチ・95キロ
出身地:大阪府
球歴:大阪桐蔭高-阪神(12年・1位)
[昨季成績] 24試(76.1回) 1勝6敗7ホールド 防4.01
[通算成績] 152試(879.1回) 51勝46敗7ホールド 防3.32