ロッテは長年左腕不足に悩まれながらも、ここ数年で若手の左投手が台頭し、“左腕不足解消”に兆しを見せていたが、今季こそ“左腕不足解消”が実現しそうな雰囲気だ。
昨季規定投球回に届かなかったものの、シーズン通して先発ローテーションを守った小島和哉は、マリーンズのサウスポーでは15年のチェン・グァンユウ以来となる5勝以上の7勝をマークし、中村稔弥は、先発とリリーフの両方をこなし2勝を挙げた。
リリーフでは新人時代の13年から7年連続で40試合以上登板していた松永昂大が5試合にとどまったが、19年に自己最多の44試合に登板したチェン・グァンユウがロングリリーフを中心に19試合に登板し、山本大貴も12試合中11試合に無失点に抑えた。
DAZNで練習試合&オープン戦も配信!
1カ月無料トライアルはこちら
新シーズンに向けて、シーズン途中に加入したチェン・ウェインが阪神へ移籍し、長年先発、リリーフにフル回転したチェン・グァンユウが退団したが、ドラフトで最速153キロを誇る左腕・鈴木昭汰(法政大)を1位で指名。
その鈴木は春季キャンプ一軍スタートを切り、2月13日からはじまった対外試合では、持ち味である“強気のピッチング”を披露する。本拠地・ZOZOマリンで初登板となった3月7日の西武戦では、初回から金子侑司、山川穂高といった主力打者をインコースに攻めるなど、4回2失点にまとめた。14日のソフトバンク戦では4回までノーヒットに抑えこむなど、5回を1安打無失点。オープン戦では2試合に先発し、いずれも安定した投球を見せており、先発ローテーション入りが有力だ。
そして、鈴木が先発した14日に育成選手だった左腕の本前郁也が、支配下選手登録を勝ち取った。本前は1年目の昨季ファームで、11試合・38回2/3を投げて、2勝0敗、防御率2.56の成績を残した。今春のキャンプでは育成選手でありながら、異例の一軍キャンプに大抜擢。2月13日からの沖縄遠征にも帯同し、2月24日のソフトバンク戦では3イニングをパーフェクト、オープン戦初登板となった3月11日の楽天戦でも3回を1安打無失点とアピールを続け、支配下選手となった。
本前は自身の持ち味について「マウンドで表情を出さないことと、ストレートと変化球をコースに投げ分けられるコントロール」と話すが、ここまでの一軍の対外試合では8イニングを投げ、与えた四球はわずかに2つ。ここまでの投球を見れば、開幕先発ローテーション入りも十分に考えられる投球内容だ。
仮に小島、鈴木、本前の3人が先発ローテーション入りとなれば、3人も左投手がローテに入るということになる。左不足に悩まされ続けたことを考えれば、かなりの充実ぶりといえるだろう。
先発左腕が育ってきている一方で、左のリリーフが手薄なのは気になるところ。オープン戦では実績のある松永をはじめ、左のリリーフ候補たちがピリッとしない。ただ昨季開幕してから山本が存在感を示したように、開幕後に左のリリーフ候補たちが一軍定着していることもありえない話ではない。特に左のリリーフはファームで結果を残し、あとは一軍で結果を残すだけという人材ばかりだ。
近年のドラフトでマリーンズに将来が楽しみな若手左腕が増えてきた。先発、リリーフで一軍に定着する若手左腕が出て、シーズンが終わったときに、“左腕不足解消の兆し”から“左腕不足解消”といえるようなシーズンになっていることを期待したい。
▼ 直近5年のロッテ左腕成績
【2016年】5勝
松永昂大 3勝(先:0勝 リ:3勝)
チェン・グァンユウ 1勝(先:1勝 リ:0勝)
藤岡貴裕 1勝(先:0勝 リ:1勝)
【2017年】4勝
チェン・グァンユウ 3勝(先:1勝 リ:2勝)
松永昂大 1勝(先:0勝 リ:1勝)
【2018年】4勝
松永昂大 2勝(先:0勝 リ:2勝)
土肥星也 2勝(先:2勝 リ:0勝)
【2019年】8勝
小島和哉 3勝(先:3勝 リ:0勝)
松永昂大 2勝(先:0勝 リ:2勝)
チェン・グァンユウ 1勝(先:0勝 リ:1勝)
土肥星也 1勝(先:1勝 リ:0勝)
中村稔弥 1勝(先:0勝 リ:1勝)
【2020年】10勝
小島和哉 7勝(先:7勝 リ:0勝)
中村稔弥 2勝(先:2勝 リ:0勝)
チェン・グァンユウ 1勝(先:0勝 リ:1勝)
文=岩下雄太
昨季規定投球回に届かなかったものの、シーズン通して先発ローテーションを守った小島和哉は、マリーンズのサウスポーでは15年のチェン・グァンユウ以来となる5勝以上の7勝をマークし、中村稔弥は、先発とリリーフの両方をこなし2勝を挙げた。
リリーフでは新人時代の13年から7年連続で40試合以上登板していた松永昂大が5試合にとどまったが、19年に自己最多の44試合に登板したチェン・グァンユウがロングリリーフを中心に19試合に登板し、山本大貴も12試合中11試合に無失点に抑えた。
1カ月無料トライアルはこちら
新シーズンに向けて、シーズン途中に加入したチェン・ウェインが阪神へ移籍し、長年先発、リリーフにフル回転したチェン・グァンユウが退団したが、ドラフトで最速153キロを誇る左腕・鈴木昭汰(法政大)を1位で指名。
その鈴木は春季キャンプ一軍スタートを切り、2月13日からはじまった対外試合では、持ち味である“強気のピッチング”を披露する。本拠地・ZOZOマリンで初登板となった3月7日の西武戦では、初回から金子侑司、山川穂高といった主力打者をインコースに攻めるなど、4回2失点にまとめた。14日のソフトバンク戦では4回までノーヒットに抑えこむなど、5回を1安打無失点。オープン戦では2試合に先発し、いずれも安定した投球を見せており、先発ローテーション入りが有力だ。
そして、鈴木が先発した14日に育成選手だった左腕の本前郁也が、支配下選手登録を勝ち取った。本前は1年目の昨季ファームで、11試合・38回2/3を投げて、2勝0敗、防御率2.56の成績を残した。今春のキャンプでは育成選手でありながら、異例の一軍キャンプに大抜擢。2月13日からの沖縄遠征にも帯同し、2月24日のソフトバンク戦では3イニングをパーフェクト、オープン戦初登板となった3月11日の楽天戦でも3回を1安打無失点とアピールを続け、支配下選手となった。
本前は自身の持ち味について「マウンドで表情を出さないことと、ストレートと変化球をコースに投げ分けられるコントロール」と話すが、ここまでの一軍の対外試合では8イニングを投げ、与えた四球はわずかに2つ。ここまでの投球を見れば、開幕先発ローテーション入りも十分に考えられる投球内容だ。
仮に小島、鈴木、本前の3人が先発ローテーション入りとなれば、3人も左投手がローテに入るということになる。左不足に悩まされ続けたことを考えれば、かなりの充実ぶりといえるだろう。
先発左腕が育ってきている一方で、左のリリーフが手薄なのは気になるところ。オープン戦では実績のある松永をはじめ、左のリリーフ候補たちがピリッとしない。ただ昨季開幕してから山本が存在感を示したように、開幕後に左のリリーフ候補たちが一軍定着していることもありえない話ではない。特に左のリリーフはファームで結果を残し、あとは一軍で結果を残すだけという人材ばかりだ。
近年のドラフトでマリーンズに将来が楽しみな若手左腕が増えてきた。先発、リリーフで一軍に定着する若手左腕が出て、シーズンが終わったときに、“左腕不足解消の兆し”から“左腕不足解消”といえるようなシーズンになっていることを期待したい。
▼ 直近5年のロッテ左腕成績
【2016年】5勝
松永昂大 3勝(先:0勝 リ:3勝)
チェン・グァンユウ 1勝(先:1勝 リ:0勝)
藤岡貴裕 1勝(先:0勝 リ:1勝)
【2017年】4勝
チェン・グァンユウ 3勝(先:1勝 リ:2勝)
松永昂大 1勝(先:0勝 リ:1勝)
【2018年】4勝
松永昂大 2勝(先:0勝 リ:2勝)
土肥星也 2勝(先:2勝 リ:0勝)
【2019年】8勝
小島和哉 3勝(先:3勝 リ:0勝)
松永昂大 2勝(先:0勝 リ:2勝)
チェン・グァンユウ 1勝(先:0勝 リ:1勝)
土肥星也 1勝(先:1勝 リ:0勝)
中村稔弥 1勝(先:0勝 リ:1勝)
【2020年】10勝
小島和哉 7勝(先:7勝 リ:0勝)
中村稔弥 2勝(先:2勝 リ:0勝)
チェン・グァンユウ 1勝(先:0勝 リ:1勝)
文=岩下雄太