阪神の石井大智 (C) Kyodo News

◆ 今年も役者揃い!

 虎の”牙”は、2021年も鋭く研がれている──。

 オープン戦で3試合連発、6本塁打を記録してドラフト制以降の新人最多本塁打記録を49年ぶりに更新した佐藤輝明が話題を独占するタイガース。脇を固めるジェフリー・マルテ、ジェリー・サンズの両大砲までもが絶好調で、得点源に事欠かない。「令和のダイナマイト打線」が衆目を集める中、着実に層を厚くしているのが鉄壁のブルペン陣だ。

 現役を引退した藤川球児、オリックスに移籍した能見篤史がチームを去っても、役者は揃う。

 昨季のセーブ王であるロベルト・スアレスを筆頭に、セットアッパーの岩崎優、先発から転向した岩貞祐太、来日2年目のジョン・エドワーズと、剛腕タイプから技巧派まで顔ぶれは豊富。それでいて、今春は「ニューカマー」の奮闘が目立っているのだ。

◆ “最後方”から一気の豪脚

 キャンプ地の沖縄から勢いを持続しているのが、ルーキーの石井大智と新加入の加治屋蓮だ。

 石井は昨秋のドラフトにおいて、支配下選手としては12球団最後となる74番目の指名でタテジマに袖を通した。まさに”最後方”からのスタート。立場を自覚する右腕も、キャンプインを号砲とするように自らムチを打ってきた。

 右投げのオーバースローでは稀少なシンカーの使い手は、2月の対外試合で3試合連続零封の圧巻投球。伊藤将司や佐藤蓮といった同じ沖縄組のルーキーを凌駕するアピールを見せ、矢野燿大監督の目にも留まった。

 「すぐにうちの中継ぎに入っても勝負できる。そういうものはしっかりと見せてくれた」。

 それは数ある中の「期待」の存在から、「戦力の1人」として認められた瞬間でもあった。

◆ 這い上がってきた男たちも

 石井が「最後方」なら、「崖っぷち」からはい上がろうとしているのは加治屋。紅白戦を含めていまだ失点を許しておらず、9日の広島戦では加入後初めて甲子園で腕を振り、1回を無失点と快投した。

 昨オフにソフトバンクを戦力外となった右腕も、2018年には72試合に登板した鉄腕の気質を備える。プロの世界の厳しさ、非情さを誰よりも痛感している男。今年に懸ける思いは、ボールを見ていれば自然と伝わってくる。

 ”ミスターゼロ”は他にもいる。3月に入って二軍から合流した小林慶祐は、10日の広島戦で初登板すると、14日の巨人戦にかけて2試合連続の無安打投球。追い込んでからのスプリットは痛打される気配は無く、三振の山を築く。「これを続けていけるように頑張りたい」の言葉に、その手応えがにじむ。

 そんな右腕と揃って昇格してきたベテランの桑原謙太朗も、最優秀中継ぎのタイトルを獲得した2017年に無双した「真っスラ」の輝きが戻りつつあり、オープン戦では失点なし。高知二軍キャンプスタートだった小林と桑原の輝きには、状態を見極めベストなタイミングで戦力を供給する一・二軍の密で健全な態勢がうかがえる。

◆ 緊張感が生む好循環

 無論、プレシーズンと本番は別物だ。幕が開ければ、公式戦での結果がすべて。同じメンバーで1年間を戦い切ることは簡単ではない。

 長いシーズンで他球団に食らいついていくには、”牙”は何本あっても足りないぐらいだろう。だからこそ、春の時点で”計算できる”パフォーマンスを見せている選手が多いことは、首脳陣にとっても心強い。

 ここ数年、顔ぶれを変えながらリーグ屈指の安定感を堅持してきたブルペンの強みがここにある。

 1年目の石井は別として、加治屋や小林、桑原も、昨年は日の目を見なかった面々ににじむ意地。若手のカテゴリーから外れている男たちは、与えられたチャンスは有限だと自覚している。

 ”無失点”の連鎖は、そんな緊張感から生まれているのだろう。

文=チャリコ遠藤(スポーツニッポン・タイガース担当)

この記事を書いたのは

チャリコ遠藤

チャリコ遠藤 の記事をもっと見る

【PR】阪神タイガースを観戦するなら「DAZN Baseball」

DAZN BASEBALL

藤川球児新監督の下、V奪還を目指す阪神。才木浩人ら投手陣は充実しているだけに、森下翔太・大山悠輔・佐藤輝明のさらなる進化が覇権奪回のカギを握る!

「DAZN Baseball」とは、月額2,300円(税込)でDAZNのプロ野球コンテンツをすべて楽しめるプランです(月々払いの年間プランのみ)。

プロ野球だけを楽しみたい方は、月額4,200円(税込)のDAZN Standard​よりも1,900円お得に視聴できます。

POINT

ペナントシリーズ、交流戦、CSまで余さず堪能できる!

② オフシーズンもドキュメンタリーやバズリプレイなどコンテンツが充実!

毎月2,300円でライブ配信・見逃し配信・ハイライトまで視聴可能!

【PR】「DMM×DAZNホーダイ」でプロ野球を観よう!

「DMM×DAZNホーダイ」とは、DMMプレミアムとDAZN Standardをセットで利用できるプラン。

単体契約ならDMMプレミアム月額550円(税込)、DAZN Standard月額4,200円(税込)のところ、本プランなら月額3,480円(税込)だからとってもお得です。

POINT

① 「DMM×DAZNホーダイ」なら単体契約より月額1,270円(税込)も安い!

② DAZNだけの契約と比較しても月額720円(税込)お得に楽しめる!

③ 新規入会月から最大3カ月間、「DMMポイント」を550ポイント付与!

もっと読む