安定感抜群の先発陣
先発防御率1.72。
シーズン開幕に向けて一軍入りを目指すアピールの場、主力選手たちの調整の場であるオープン戦で、この数字に大きな意味をもたないと思うが、ロッテの先発陣はオープン戦でかなり安定していた。
3月26日のソフトバンクとの開幕戦に先発する二木康太は、オープン戦13イニングを投げて、自責点0、防御率は0.00。開幕前最後の登板となった3月19日の巨人戦では5回を投げ4安打無失点。左打者のアウトコースいっぱいのストレート、追い込んでからのフォークは抜群だった。二木といえば昨季92回2/3を投げて、与えた四球はわずかに12だったが、オープン戦でも13イニングで与四球は0と制球力の良さは健在だ。
昨季規定投球回に到達しなかったものの、シーズン通して先発ローテーションを守った小島和哉も、オープン戦3試合・12回を投げて、防御率は3.00。3月3日のオリックス戦では左の吉田正尚に対し、初球から3球連続でカーブを投げれば、16日の日本ハム戦では西川遥輝に対し全球ストレートで勝負する場面があるなど、シーズンを見据えてテーマを持ってマウンドに上がっているように見えた。
先発ローテーション入りを目指すドラフト1位ルーキーの鈴木昭汰(法政大)、3月14日に育成選手から支配下選手登録となった本前郁也の好投も光った。鈴木は3月14日のソフトバンク戦で4回まで無安打に抑えるなど、5回1安打無失点に抑えれば、本前も持ち前のテンポの良い投球で、3月17日の日本ハム戦で4回1/3を投げ4安打無失点。走者を出してからも、それまであまり投げていなかったツーシーム系のボールで中田翔をダブルプレーに打ち取った。
ファーム組の重要性
石川歩の出遅れはあるものの、二木、美馬学、小島、岩下大輝と昨季も先発ローテーションの一角として投げてきた投手が4人いる。そこに、新人の鈴木、支配下登録となった本前が開幕先発ローテーションの枠に入っていきそうだ。
長いシーズン何が起こるかわからない。先発ローテーションで投げる投手に故障や不振、さらには連戦が続いたときに、その穴を埋められる投手も必要だ。
2019年は土肥星也、小島、中村稔弥、佐々木千隼など、ファームで投げていた先発も一軍昇格に向けて安定した投球を披露し、小島が夏場以降に先発ローテーションに定着、同年8月に大型連戦が続いたときに土肥、佐々木の存在も非常に大きかった。昨季も開幕先発ローテ入りするも二軍再調整となった二木が、8月以降に再昇格しシーズン自己最多の9勝をマークした。
特に今季は開幕してからしばらくは6連戦が続き、4月27日の西武戦から5月5日の日本ハム戦にかけて9連戦も控えている。そういった意味でも、ファームから一軍を目指す先発の存在も重要だ。また開幕してしばらくは、若手先発陣がしっかりとゲームを作れるか、故障で出遅れが予想される石川がどのタイミングで復帰するかもポイントになっていきそうだ。
1974年以来、勝率1位でのリーグ優勝を目指すマリーンズ。安定した戦いをするためにも、打線の奮起はもちろんのこと先発投手陣が、シーズン通してしっかりゲームを作ることが求められる。
文=岩下雄太