ニュース 2021.03.22. 17:30

「『俺が開幕投手だろ!』みたいな顔する奴が今はいない」 “常連”江本孟紀がアピールの極意を明かす

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ショウアップナイター エピソード55
<エピソード5~「競争心」こそが開幕投手を勝ち取る最大の原動力~>



~今年2021年、放送開始から「55周年」のシーズンを迎えたニッポン放送「ショウアップナイター」。これを記念し、中継だけでは届けきれない取材情報や解説陣の“ここだけの話”など、「55」のエピソードを紹介していく連載企画~

ショウアップナイター解説者の江本孟紀が、自身が現役時代に開幕投手をいかにして勝ち取ったのか、その極意を語った。

プロ野球 南海ホークス時代の江本投手、ピッチング 撮影日:1973年02月 写真提供:産経新聞社



今年2021年、55周年を迎えるニッポン放送ショウアップナイター。その解説者である江本氏が、まさにペナントレース開幕直前のいま、開幕戦の重要性とその試合へ出場することの意義について次のように語りつくした。

「我々の時代のプロ野球選手は皆、ピッチャーなら開幕投手、野手なら開幕戦のスタメンに自分の名前を連ねることを目標に、自主トレ、合同自主トレ、キャンプ、オープン戦をやっていましたね。最近は『開幕に出なくても、調子は5月くらいから出ればいいか』という人もいるので、どこに焦点を合わせているのか疑問です。

開幕戦というのは、その年のそのチームを代表する選手な訳で、それを目標に皆、自主トレをスタートしていってましたから……」

ニッポン放送ショウアップナイター解説者 江本孟紀氏



「私の現役時代を振り返ると、シーズンが終わったらとにかく休む! 自主トレをスタートする前までに遊びきる! 私は日本シリーズに1回しか出てないから、日本シリーズを出場している選手を横目にみながらゴルフして『おい、まだ野球してるやつおるでぇ』……そういう負け惜しみを言ってました(笑)。そして、休養とか遊びとかそういうのは12月のうちに捨て去り、除夜の鐘を聴きながら『今年もやるぜ!』というふうに気持ちを切り替えていきました。

このころスターだった長嶋茂雄さんは、伊豆の大仁で自主トレをスタートしていてマスコミに『大仁山ごもり』なんて報道されていましたが、我々のような一般選手のスタートはその辺の公園を走ってました(笑)。自主トレ開始からの1週間というのは物凄い筋力痛で、しゃがめなかったり歩けなかったりで、トイレに行くのも大変でしたよ(笑)。その苦痛を乗り越えてスタミナと本当の筋力作りを開始。キャッチボールをして徐々に肩をならした後、キャンプに入ったらブルペンで20~30球軽く投げる。それからだんだんとピークをあげて『今日はこれくらいハードなことをやろう、これぐらいの球数を投げよう』。数を決めて投げていた訳ではないけど気が付いたら200球を超えていた日もありました。基本、最初は真っ直ぐしか投げなかったですね。途中から変化球を投げて、最後はシーズン中と同じような変化球を投げられるようにする。私の場合、カーブの曲がりが1点にバチーンと決められるようなコントロールをつけてました。だから最後は集中力をつける練習もしてました。『今日は10球外角低めに連続したらやめよう』なんて目標を立ててました。故・野村克也さんも『外角低め低め』と言ってましたが、どういう方法で外角低めにコントロールつけるのかという方法は彼は知らなかったですね(笑)」

プロ野球 南海ホークス時代の江本投手、ピッチング 撮影日:1973年02月 写真提供:産経新聞社



「紅白戦やオープン戦で、最初は3回を0点もしくは1点に抑える。次の登板は5回を1点、その次の登板は7回を2点、さらに次の登板は9回を1~2点に抑える。そして9回を2回くらい投げたらスタミナがついたなという確信をもって首脳陣にアピールする。1軍にあがるにはオープン戦が勝負。自主トレ、キャンプを評価したって意味がないんだから。『やっぱり俺が開幕投手だろ!』みたいな顔をする奴が今はいないよね。

基本は『競争』。『競争心』ですよ。ある程度実績残した人はそこの上に自信というのがあって、『競争』と『自信』というのを常にひっさげて『開幕戦は俺がとる!』。昔は最大の目標でした」

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