◆ こぼれ落ちた初白星
本拠地・横浜での開幕戦で初勝利を飾るかに見えたDeNAだったが、3点リードで迎えた8回に、まさかの落とし穴が待っていた。
DeNAの三浦大輔監督は8回、勝ちパターンの石田健大を投入。先頭の山崎晃大朗に四球を与えたあと、青木宣親と山田哲人を抑えて二死までこぎつけたが、4番・村上宗隆に四球、5番・内川聖一に適時打を許し、堪らず山﨑康晃を投入。しかし、塩見泰隆、川端慎吾に連続適時二塁打で逆転を許し、ハマスタにファンのため息が響いた。
試合後、指揮官は石田について「四球からの失点。慎重になりすぎているのか…」と困惑の表情を見せ、慣れない回の途中起用となった山﨑康晃には「結果的には申し訳なかった」と擁護。開幕からの3登板全てで失点を喫している石田には「やってもらわないと。チームとしての大事な役割。本来の投球をしてもらいたい」と奮起を促した。
◆ 敗戦の中にも見えた“一心野球”
結果的に後味の悪い敗戦となってしまったが、先発の大貫晋一は140キロ台後半のストレートと140キロ中盤のツーシーム、キレのいいスライダーとスプリットでヤクルト打線を翻弄し、6回まで無失点ピッチング。三浦監督も「良かっただけに、もう1イニング。球数も100球ちょっとだったので」と、7回もマウンドに送り、塩見に被弾したものの、118球、被安打5、奪三振6、与四球2という内容で、横浜の開幕投手として、その重責を果たした。
攻撃面では初回、桑原将志のヒットのあと、関根大気のエンドランで一、三塁とチャンスを広げ、佐野恵太の四球で満塁となり、宮﨑敏郎のタイムリーで先制。さらに6番に入った田中俊太がしぶとくショートへ転がして追加点と、見事な先制パンチを見舞った。3回には、アウトになったものの、先頭の関根が8球、牧秀悟が9球粘ると、佐野、宮﨑の連続二塁打で加点する理想的な攻撃を見せた。
守備面では、4回二死一、二塁のピンチで、抜けていれば適時打になりそうな打球を、柴田竜拓がダイビングキャッチで防ぎ、6回も村上の打球を牧が好捕してダブルプレーと、好投の大貫をバックアップ。最後まで“一心”となって戦う姿勢は見せることができた。
「勝ちに繋げられないのは監督ですから」と自戒しながらも、「明日こそはという気持ち」と力を込めた三浦監督。まずは5戦目の明日、片目が明くことを信じるしかない。
取材・文=萩原孝弘(はぎわら・たかひろ)