「野上が帰ってきた」
名古屋での戦いを1勝1敗1分で終え、本拠地に戻ってきた巨人。
ヤクルトとの“東京ダービー”第1戦は相手エース・小川泰弘を打ち崩せずに0-2で敗戦となったが、この試合でチームの危機を救った男がいる。先発した野上亮磨だ。
神村学園高から社会人・日産自動車を経て、2008年のドラフト2位で西武に入団。2ケタ勝利を2度マークするなど、先発の一員として活躍を見せたが、2018年の巨人移籍以降は3年間で5勝止まり。2019年の10月に左アキレスけん断裂の大ケガを負ったこともあり、昨季は一軍登板がないままシーズンを終えていた。
それでも、今季は復活に向けて二軍で着々と準備。プロ野球開幕に沸いた3月26日はジャイアンツ球場でファーム公式戦に登板して6回無失点の好投を見せるなど、良いアピールを続けてきた。
すると、同じ3月26日に東京ドームのマウンドに登り、開幕投手を務めたエース・菅野智之が足の違和感で離脱。登録抹消となり、金曜日の先発がぽっかりと空いた。そこで白羽の矢が立ったのが、リベンジに燃える33歳右腕だった。
実に605日ぶりの一軍登板。「感謝の気持ち」を胸に挑んだ男は、立ち上がりこそ球がやや浮くシーンも見られたものの、4回まで毎回三振を奪って無失点の快投。5回も一死から西浦直亨に二塁打を浴びるなど、二死一・二塁というピンチを迎えたが、1番の当たっている山崎晃大朗を右飛に仕留め、5回を無失点に抑えた。
ところが6回、先頭の中村悠平に安打を許し、山田哲人を空振り三振に斬った後の4番・村上宗隆との勝負。ここまでは2打席連続で三振を奪っていたが、1ボール・1ストライクから投じた3球目のスライダーが甘く入ると、21歳の怪童がこれをフルスイング。右翼手・梶谷隆幸も一歩も動けない完ぺきな一発を浴び、ついに失点。野上は思わずマウンド上で膝をついた。
それでも、後続を三振と外野フライに仕留め、引きずることなく6回を95球、被安打4のうち1本が本塁打、与四球は1つ、7奪三振で2失点という力投。エース離脱のなかで、復活を期すベテランはしっかりと存在感を放った。
この日の野上について、2日放送のCSフジテレビONE『プロ野球ニュース』に出演した解説者の池田親興氏は、「野上が帰ってきましたね」と笑顔。
「ホームランは打たれましたけど、非常に小気味良いピッチング。良い球を投げてましたし、これから先が楽しみですよ」と、完全復活に向けた今後の活躍に期待を寄せた。
☆協力:フジテレビONE『プロ野球ニュース2021』