ポイントは8回の采配
開幕から2カード続けてロードゲームを戦った阪神。
この日も本拠地・甲子園ではないものの、京セラドーム大阪での“ホーム開幕”とあって地元ファンに勝利を届けたいところだったが、終盤にリリーフが打たれて3-6で敗れた。
開幕投手・藤浪晋太郎は2回にボークで1点を失うも、その裏に打線が奮起。相手の失策で得たチャンスに、木浪聖也が適時二塁打を放ってまず追いつくと、二死二・三塁から近本光司がセンターに弾き返す適時打。この間に二者が還り、阪神が3-1と逆転に成功する。
藤浪は6回を投げて被安打7と2四球も、6奪三振で1失点という力投。役割を果たし、あとは自慢のリリーフ陣に託す。7回は岩貞祐太が1回を3人斬り。本来であればこの後は岩崎優から、クローザーのロベルト・スアレスへとつないでいくのが阪神の方程式だった。
しかし、矢野燿大監督は8回から3番手として加治屋蓮を投入。これが誤算だった。
先頭は切るも、平田良介に四球を与えてしまうと、京田陽太に安打でつながれて一死二・三塁。ここで木下拓哉にフルカウントから左中間突破の一打を浴び、これが適時二塁打となって二者が生還。3-3となり、この時点で藤浪の白星が消滅してしまう。
ベンチはたまらずここで4番手・小林慶祐をマウンドに送るが、代打の井領雅貴に四球を与え、つづく福留孝介は空振りの三振に斬ったものの、トップに返って大島洋平にうまくレフトに運ばれ、この適時打で3-4。試合をひっくり返されてしまった。
9回にも小野泰己が2点を失い、終わってみれば3-6の逆転負け。この試合について、2日放送のCSフジテレビONE『プロ野球ニュース』に出演した解説者の田尾安志氏は、阪神の継投に疑問を呈した。
ポイントは1点リードの8回、加治屋を投入した場面。田尾氏は「ここの加治屋はなんでかな、という。1日の試合で岩崎優が31球投げて、内容も良くなかったというのはあるけれども、現状は岩崎からスアレスへと行くべきところ」と、“勝利の方程式”に沿った継投をしなかった部分を指摘。
同じく解説した池田親興氏も、「チームとして勝ちパターンを広げたかったのかな。加治屋も元々ホークスではそういった場面で投げていましたので、経験はある選手ではある。ただ、パターンを崩して落としたというのはもったいないかなと思いますね」とコメント。
さらに田尾氏は、「同点に追いつかれて、最後は大島に勝ち越し打を打たれるんですけど、もし岩崎が投げられるのであれば、ここで岩崎でも良かったんですよね。一手遅いとはいえ」と語り、「今日はタイガースの一番の勝ちパターンのゲームだっただけに、もったいなかったと思いますね」と、得意の終盤逃げ切りに持ち込めなかったことを疑問視した。
☆協力:フジテレビONE『プロ野球ニュース2021』