副音声の「ビジター応援放送」が話題
今年もパシフィック・リーグの熱戦を無料放送で全国にお届けしているBS12 トゥエルビ。
なかでもユニークな取り組みと言えば、副音声で実施している「ビジターチーム向けの中継」だろう。
プロ野球ファンに思いきり野球を楽しんでもらいたいという想いから、「BS12 プロ野球中継」では解説音声を2種類用意。一般的な実況・解説による中継だけでなく、副音声はビジターチームのファンに向けた応援放送を実施している。
ビジターチームの球団OBや、そのチームの熱狂的ファンを公言している各界の著名人をゲストに招き、一緒に応援しながら試合を見る、というのがなによりの醍醐味。
時にはかつての思い出話、またある時は試合に出ている選手に関するマル秘エピソード。さらには目の前の対決から離れた世間話から、まさかの“モノマネ”も…?もはや何でもありの中継が、ファンの間で話題になっている。
「気楽に話したいことを話せる」副音声の魅力
今回はBS12 トゥエルビの協力の下、「ビジター応援放送」に臨む前のゲストに直撃取材。
4月16日(金)の西武-ソフトバンク戦の副音声に出演したのが、ホークスOBの斉藤和巳さんと新垣渚さんだった。
ともにダイエーからソフトバンクへと移り変わっていく時代に、先発の柱としてチームを支えてきた2人。
関係性で言えば、斉藤さんが3つ年上。しかも、新垣さんがプロ1年目の2003年といえば、斉藤さんは自身初の開幕投手を務め、シーズン20勝(3敗)を挙げた年。まさにイケイケの時期だっただけに、“斉藤先輩”の第一印象については「こわかった」と正直に語る新垣さんだが、ローテーションに定着してともに戦っていく中で、徐々に壁はなくなっていったという。
―― お互いの印象について教えてください。
新垣:う~ん…何と言いましょう。真面目。真面目…?
斉藤:真面目でええやんか。言い直さんでええやん(笑)
新垣:野球に対して正直な人、ですかね。とにかく野球を真面目にやる。その姿勢はものすごく勉強になりましたね。
斉藤:プライベートを切り離すなよ(笑)
―― 新垣さんはどんな方ですか?
斉藤:こいつは基本、先輩をナメている(笑)自分のスタンスを崩さないというか、本当にマイペース。ただ、それで怒られることも多々あるけど、なんかかわいがられているという。得なんですよ。
―― 2人での解説というと、昨年のこの企画以来ですよね?「副音声」って、ふだんの中継(主音声)とはやっぱり違うものですか?
新垣:僕は主音声にほとんど出ないので違いは分からないですけど、ここ(副音声)は気が楽で、なんでもしゃべれるから楽です(笑)
斉藤:主音声と比べて、自分の話したいことがいっぱい話せる。目の前に起きていることはもちろん、過去を振り返っての雑談なようなものも。そういう楽しみがあるかなと。
―― ダブル解説となると、思い出話も弾みますよね。
斉藤:あまり気を遣わなくていいですよね。こいつも僕に対して気遣わないし(笑)
新垣:いやいや(笑)
斉藤:でもまぁこうやって、肩ひじ張らずに野球が見られるというのも新鮮で良いですよね。
―― “雑談”がどんなものなのか気になるのですが、なにか覚えていることはありますか?
斉藤:去年、おととしかな?中継中にピノの話をしたんですよ。アイスの。そうしたらスタッフの方がピノを買ってきてくれて、食べながらしゃべったという(笑)
新垣:ぜいたくですね(笑)
斉藤:なかなかないよ、そんなこと(笑)
新垣:俺もなんか言ってみようかな…(笑)
ちなみに、この日の試合はソフトバンクが石川柊太、西武は髙橋光成という若き開幕投手による白熱した投げ合いに。
放送では、ピッチャーとしてプロの世界で長く活躍した2人が見る両先発の良さと課題、また重要な局面ごとの解説はもちろんのこと、今では当たり前になりつつある先発投手の交代のメド=“100球”というラインについて、斉藤さんが本音をぶっちゃける場面も…。
視聴者からは「OLが給湯室で先輩の愚痴を語る時のトーン」との指摘も飛び出した、まさに副音声ならではの空間だった。
こんなユニークな取り組みを通じて、プロ野球ファンの“おうち時間”を充実させる『BS12プロ野球中継』。
今後も大物OBや球団愛にあふれたゲストの出演が続々と決まっており、ファンの皆さんにはぜひ一度、贔屓チームの「ビジター応援放送」に触れていただきたい。