本拠地・甲子園で1450日ぶりの白星を挙げた阪神・藤浪晋太郎 (C) Kyodo News

◆ 「投げやすい」という言葉の意味

 久々に上がったお立ち台。

 藤浪晋太郎は“聖地”に内緒にしてきた本音を口にした。

 「今まで甲子園ってヤジも多くて投げにくいなとか、甲子園で投げるの嫌だなって思った日もすごいあったんですけども…。19年ですかね、1登板しかしてないんですけど、ものすごい歓声をいただいて…そのときから甲子園、すごい投げやすいなと思ってます」

 大阪桐蔭高時代には春夏連覇を成し遂げ、プロでも1年目から幾度となく上がってきた舞台…。

 その場所をあらためて「投げやすい」と言う必要があるほど、背番号19にとって甲子園のマウンドの意味合いは波打つように変わってきた。

 高卒1年目からローテーション入りし10勝。「黄金ルーキー」の看板に違わぬ活躍で、瞬く間にチームに欠かせぬ1人になった。

 当然、見る者の期待値、ハードルも上昇していく。「期待の若手」ではなく、やってもらわないといけない「主力の1人」にジャンプアップ。

 4年目で初めて2ケタ勝利を逃した2016年あたりから、スタンドのため息や野次も目立つようになり、制球難を露呈すると拍車がかかる。気づけば2017年4月28日のDeNA戦を最後に、甲子園での白星から遠ざかってしまった。

◆ 「甲子園、大好きなので…」

 晴れない“景色”が一変したのは、2019年8月1日の中日戦。この年、唯一となった一軍登板だ。

 登場曲にしているMr.Children「終わりなき旅」に乗ってマウンドへと歩を進める背中に注がれたのは、温かい声援と拍手。後に、本人はこの瞬間のことを明かしている。

 「1登板しかしてないのに、ものすごい歓声をいただいて。正直、びっくりしました。こういう空気感で野球をやっていかないといけないと思いましたし、この期待に応えるために成績を残さないといけないんだと」

 「見られること」、「期待されること」に少しだけ嫌気がさしていた右腕はこの時、心の奥底で小さく何かが燃え始めるのを感じた。

 迎えた2021年、4月16日の中日戦。甲子園で勝てなかった“1450日”という長い月日を一気に埋め合わせるように、躍動した。

 5回には二塁に走者を置き、フルカウントから石川雅規の投じた直球を仕留めて左翼へ先制2ラン。プロ通算3本目は高校以来、甲子園で打つ初めてのホームランだった。

 投球では6回途中で5四死球と荒れながら、要所はしっかりと締めて鉄壁の救援陣にバトンタッチ。手にした今季2勝目は、2年前に浴びた歓声への恩返しにもなった。 

 冒頭のお立ち台での言葉には「締め」がある。

 「甲子園、大好きなので、これからも頑張ります。今日はちょっと不甲斐ないピッチングでしたけども、次回以降、ちゃんとタイガースファンのみなさんの前で抑えれるように頑張ります。本当に応援ありがとうございます」

 藤浪にとって聖地が再び「ホーム」になった。 

文=チャリコ遠藤(スポーツニッポン・タイガース担当)

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チャリコ遠藤

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