ニュース 2021.04.26. 17:56

GT首位決戦 畠・髙橋助けた“野手の好プレー”

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【プロ野球巨人対阪神】お立ち台 4勝目を挙げ「ダブルピース」する巨人・高橋優貴とグータッチの巨人・香月一也=2021年4月22日 東京ドーム 写真提供:産経新聞社
話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、東京ドームで開催された4月22日の巨人-阪神戦にまつわるエピソードを取り上げる。

4月20日から東京ドームで行われたセ・リーグ頂上決戦、巨人-阪神3連戦。決戦前、阪神は7連勝中で、巨人に3ゲーム差をつけて首位。6連勝と追い上げて来た巨人を叩いて、独走態勢を築きたいところ。一方追う巨人も、最低でも勝ち越して虎のシッポをつかんでおきたいところでした。

注目の初戦は、阪神のクリーンアップ、マルテ・大山・サンズが、3人でホームラン5本を放ち、10-5で巨人を圧倒し8連勝。やはりこの勢いは止められないか……というムードが漂いました。

21日の第2戦は、畠世周が先発。初回、いきなり近本光司に先頭打者アーチを打たれると、3番・マルテにも1発を浴びてしまいます。「また同じパターンでやられるのか……」という立ち上がりでしたが、2回・4番・岡本和真が反撃の2号ソロ。4回にも2打席連続の3号ソロを打って反撃します。

追い付いてもらった畠は4回、宮本コーチの指示で、走者なしでもセットポジションからの投球に切り替えます。するとピッチングが安定。佐藤輝明・梅野隆太郎・中野拓夢を3者連続三振に斬って取り、ここから波に乗って行きました。

畠を助けてくれたのが、吉川尚輝でした。2人は2016年のドラフト同期生で、1位が吉川尚、2位が畠です。6回表、2死一塁の場面で、佐藤輝が放ったライト前に抜けそうな当たりをスライディングキャッチすると、一塁に素早く送球しアウト! このファインプレーにも救われ、畠は6回を5安打2失点で切り抜け、マウンドを降ります。

その裏、守備で魅せた吉川尚はバットでも魅せます。2死一・二塁から青柳晃洋のスライダーに食らい付き、詰まりながらレフト前へ。
『執念で打った。一塁を回った吉川は手をたたき、両手をあげて笑顔でガッツポーズした。「気持ちで打ちました! 畠が頑張っていたので良かったです」。同い年の右腕に勝利投手の権利も生まれる勝ち越しタイムリー。内に秘める熱い思いが自然と表にあふれ出た』

~『スポーツ報知』2021年4月22日配信記事 より

このタイムリーが決勝打となり、直前まで投げていた畠に勝ちが付いて2勝目。阪神の独走に待ったをかける大きな勝利となりました。

続く22日の第3戦は、開幕3連勝中の髙橋優貴が登板。髙橋は初回、先頭の近本にいきなり二塁打を打たれます。先制点を許すといまの阪神は厄介。続く2番・糸原健斗は一塁ゴロ。近本の足を考えると、確実に1アウトを取りに行くかと思いきや、この日5番・一塁に入っていた香月一也は迷わず三塁へ送球。間一髪でタッチアウトにしたのです。

この直後、髙橋はマルテに二塁打を打たれ、本当ならそこで1点取られていたはずでした。その後も満塁のピンチを迎えましたが、何とかしのぎます。1イニングに二塁打を2本打たれて無失点で切り抜けられたのは、香月の好判断のお陰でした。

その裏、巨人は攻勢をかけます。岡本和の2点タイムリーと重信慎之介のタイムリーで3点を先制。さらに2回は、前日活躍した吉川尚が2号ソロを放つと、坂本勇人が特大の3号2ラン。6-0と阪神を圧倒します。打線の援護にも助けられ、髙橋は6回3失点で降板。

その後も7回、香月がダメ押しの3号ソロを右翼席に叩き込み、8回には梶谷隆幸にもソロが飛び出して勝負あり。8-3で巨人が連勝し、首位・阪神とのゲーム差を2に縮めました。髙橋はこれで開幕4連勝。巨人のサウスポーでは、2010年の内海哲也以来、11年ぶりの快挙です。試合後、髙橋とともにお立ち台に立ったのは香月でした。
『「香月でーす!」「最高でーす!」「がむしゃらに打席に入って良い結果が出たので良かったです」「最高でーす!」「これからも全力で頑張るので応援お願いします!」と、2軍で指導を受けた阿部慎之助2軍監督の現役時代のセリフ「最高でーす」を連呼し、元気いっぱいにファンにあいさつした』

~『スポーツ報知』2021年4月22日配信記事 より

昨年(2020年)9月、澤村拓一との緊急トレードでロッテから移籍して来た香月。ロッテではほとんど2軍の選手だったため「格差トレード」とも言われましたが、原辰徳監督はその長打力を買っての獲得でした。過去6シーズンで1本しか本塁打を打っていなかった選手が、今季は早くも3発です。能力を引き出した阿部慎之助2軍監督の手腕も光ります。

ヤクルトから田口麗斗と交換トレードで獲得した廣岡大志も先日いい働きをしましたが、こうして外部から新しい血を入れ積極的に起用。チームを常に活性化していることが、新型コロナ禍で主力を多数欠いてもチームが沈んで行かなかった理由です。

開幕前、先発枠の6番手を争っていた畠と髙橋が大事なゲームで結果を出し、自信を付けたのは原監督にとって大きな収穫でしょう。また、野手が打撃だけでなく守備でも好プレーで投手を救っているのは、それだけチームが一丸となっている証拠です。まだまだペナントレースの先は長いですが、3連覇を目指す巨人にとって、この連勝は単なる2勝以上に大きな意味を持つ白星でした。

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