今季メジャーで安打数・本塁打数が減少中…?

◆ 白球つれづれ2021~第18回・魅力ある野球への模索

 現地1日付のESPN電子版が、メジャーリーグにおける4月の安打数と本塁打数がかつてないレベルで減少したことを報じている。

 安打数は1試合平均7.63本、本塁打は同1.14本。これは2015年以降で最少という。我々がメジャーのテレビ中継を見ている限りでは派手なアーチの競演が多いと映るが、現状は違うようだ。

 この要因として挙げられているのが、“飛ばないボール”である。

 MLBでは今季から反発係数の少ないボールを使用しているため、打球が375フィート(約114メートル)以上飛んだ場合、以前よりも30~60センチ飛ばなくなっているのだ。

 これだけでは安打の減少の説明にはならないが、年々パワーピッチャーの球速が上がり、多彩な変化球を操る投手も増えているので、ヒットを打つのもたやすくない。

◆ 時代に即して柔軟な変化を

 近年のメジャーでは、「野球が面白くなくなった」という声が聞かれるようになった。

 パワー全盛の影響で、“ホームランか三振か”の大味な試合展開が目につく。データ優先による極端な守備シフトの採用で、会心の安打性の打球が野手の正面を衝くのも考え物だ。

 それなら、空いているエリアを狙って流し打ちでも良さそうなものだが、力対力の勝負を好む米国人気質からすればそれも違う。

 そんな中で、MLBは様々なルール改正を実験中だ。

 2019年に独立リーグの「アトランティック・リーグ」と協定を結び、同リーグを中心に模索が進んでいる。この中で興味深いものをいくつかピックアップしてみる。

(1)投手と本塁間の距離を60センチ離す

 従来の野球規則では投手とホームプレート間は18.44メートルだが、これを19.04メートルとする。具体的には投手の投げる位置を二塁ベース寄りに60センチ離そうとするもの。160キロ台の快速球を投げる投手が珍しくなくなった時代に安打を生まれやすくして、打撃戦を促進しようとする狙いがある。

(2)極端な守備シフトの廃止

 投手が投球した際に、二塁ベースを挟んで左右二人ずつ配置されていないといけない。違反の場合はその投球をボールと判定する。

(3)ワンポイント登板の禁止

 「スリーバッター・ミニマム」と呼ばれ、一人の救援投手は最低3人に投げなければならない。試合時間の短縮とスピードアップを狙ったものだが、日本で言えばソフトバンクの嘉弥真新也投手のような左殺しのワンポイント投手にとっては死活問題になりそうな変更案だ。

(4)ベースの拡大

 塁上のベースを従来の38.1センチ(15インチ)から45.72センチ(18インチ)に広げることで塁上のケガを防止する。もっとも、これにより塁間は14センチ短くなるので盗塁や併殺プレーに影響が出る。

 これらの多くはすでに独立リーグだけでなく、メジャーファーム組織である2Aや3Aでも採用されており、近い将来メジャーだけでなく、日本でも導入される可能性は大きい。

 さらに、もう一つの壮大な実験もある。「ロボ審判」だ。

 メジャーの審判を見るにつけ、ストライク・ボールの判定にバラつきが多い。日本の審判の方が正確性なら上だろう。

 そこでロボットならぬトラックマンレーダーやトラックシステムを多数配置して、厳格なジャッジを導き出そうと言うものだ。もっとも、審判組合の反対は必至で導入までには難航が予想される。

 昨今のMLBでは、日本式のスモールベースボールが見直されている。好投手を攻略するにはバントやヒットエンドランなど、足を絡めた緻密な作戦も必要だ。

 それにしても、長い歴史を誇る現行の野球規則さえ、時代に即して変えていこうとするメジャーの精神は凄い。魅力ある野球へ…。日本球界にも独自のフロンティアスピリットが欲しいものだ。

 壮大な実験には巨額な投資も必要となる。それも含めて改革の時期である。

文=荒川和夫(あらかわ・かずお)

【荒川和夫・プロフィール】
1975年スポーツニッポン新聞社入社。野球担当として巨人、西武、ロッテ、横浜大洋(現DeNA)等を歴任。その後運動部長、編集局長、広告局長等を経て現在はスポーツライターとして活動中。

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この記事を書いたのは

荒川和夫

1975年スポーツニッポン新聞社入社。野球担当として巨人、西武、ロッテ、横浜大洋(現DeNA)等を歴任。その後運動部長、編集局長、広告局長等を経て現在はスポーツライターとして活動中

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