投手・野手ともに新人の活躍が目立つセ・リーグ
ペナントレースの最初の山場でもある、ゴールデンウィークの連戦が終了した。ここまでを振り返ると、セ・リーグでは野手・投手ともに新人たちの活躍が目立っている。
野手では佐藤輝明(阪神/近畿大)と牧秀悟(DeNA/中央大)がすでにレギュラーとして試合に出場しており、中野拓夢(阪神/三菱自動車岡崎)も遊撃手のレギュラーを奪いつつある。
投手では伊藤将司(阪神/JR東日本)の投球術が光る。先発ローテーションに入り、無傷の3連勝。規定投球回には到達していないものの、防御率1.55と主戦級の数字を残している。また、栗林良吏(広島/トヨタ自動車)は新人ながら守護神に定着。開幕から15試合連続無失点と抜群の安定感を誇っている。その他にも、森浦大輔(広島/天理大)と大道温貴(広島/八戸学院大)が貴重な中継ぎとして開幕一軍で投げ続け、一度も二軍に降格していない。
入団2年目以降の選手や、これから頭角を現してくる選手もいるだろうが、新人王争いは彼ら中心に繰り広げられていきそうだ。
そこであらためて、1989年(平成元年)以降のセ・リーグ新人王を振り返ってみると、高卒や大卒に比べ即戦力としての期待値が高い社会人出身の投手から、しばらく新人王が生まれていないという意外な事実が目についた。。
セ・リーグで社会人出身の投手新人王は1994年の藪恵市が最後
さかのぼると、社会人出身の投手によるセ・リーグの新人王は、なんと1994年の藪恵市(阪神/朝日生命)が最後となっている。
藪以前では、与田剛(中日/NTT東京/1990年)、森田幸一(中日/住友金属/1991年)、伊藤智仁(ヤクルト/三菱自動車京都/1993年)と、5年間で4人も社会人出身の投手が新人王を受賞していたが、それ以降は藪しかいない。
パ・リーグを見ると、石川歩(ロッテ/東京ガス/2014年)、牧田和久(西武/日本通運/2011年)、攝津正(ソフトバンク/JRA東日本東北/2009年)、小松聖(オリックス/JR九州/2008年)、久保康友(ロッテ/松下電器/2005年)と、楽天が新規参入した2005年以降でも5人いるなど、セ・リーグとは対照的だ。
藪が新人王を受賞した1994年以降、セ・リーグに社会人出身の投手が少なかったかというと、そんなことはない。能見篤史(阪神/大阪ガス)、吉見一起(中日/トヨタ自動車)、内海哲也(巨人/東京ガス)といった各球団でエース格となった選手もいたが、1年目から新人王を獲るような活躍はできていなかった。
シーズンはまだ100試合以上も残っており、今後の展開はまだまだ読めない。社会人出身の投手では、先発ローテーションに入った伊藤、守護神となった栗林のさらなる活躍に期待がかかるところだが、まずはケガなく1年間を走り抜くことができるかが重要になってくるだろう。
【1989年(平成元年)以降のセ・リーグ新人王】
☆=社会人出身の投手
2020年:森下暢仁(広島/投手/明治大)
2019年:村上宗隆(ヤクルト/内野手/九州学院高)※2年目
2018年:東克樹(DeNA/投手/立命館大)
2017年:京田陽太(中日/内野手/日本大)
2016年:髙山俊(阪神/外野手/明治大)
2015年:山﨑康晃(DeNA/投手/亜細亜大)
2014年:大瀬良大地(広島/投手/九州共立大)
2013年:小川泰弘(ヤクルト/投手/創価大)
2012年:野村祐輔(広島/投手/明治大)
2011年:澤村拓一(巨人/投手/中央大)
2010年:長野久義(巨人/外野手/Honda)
2009年:松本哲也(巨人/外野手/専修大)※3年目
2008年:山口鉄也(巨人/投手/米独立)※3年目
2007年:上園啓史(阪神/投手/武蔵大)
2006年:梵英心(広島/内野手/日産自動車)
2005年:青木宣親(ヤクルト/外野手/早稲田大)※2年目
2004年:川島亮(ヤクルト/投手/八戸大)
2003年:木佐貫洋(巨人/投手/亜細亜大)
2002年:石川雅規(ヤクルト/投手/青山学院大)
2001年:赤星憲広(阪神/外野手/JR東日本)
2000年:金城龍彦(横浜/内野手/住友金属)※2年目
1999年:上原浩治(巨人/投手/大阪体育大)
1998年:川上憲伸(中日/投手/明治大)
1997年:澤﨑俊和(広島/投手/青山学院大)
1996年:仁志敏久(巨人/内野手/日本生命)
1995年:山内泰幸(広島/投手/日本体育大)
1994年:藪恵市(阪神/投手/朝日生命)☆
1993年:伊藤智仁(ヤクルト/投手/三菱自動車京都)☆
1992年:久慈照嘉(阪神/内野手/日本石油)
1991年:森田幸一(中日/投手/住友金属)☆
1990年:与田剛(中日/投手/NTT東京)☆
1989年:笘篠賢治(ヤクルト/外野手/中央大)